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【仕事しながら3ヶ月】建設業経理士1級 財務諸表の攻略手順と理論暗記の正しいやり方

daisen

「建設業経理士1級を取りたいけれど、3科目もあって何から始めればいいかわからない」「参考書を開いたら、2級とは別世界の内容で心が折れそう」――そんな気持ちを抱えている方は多いのではないでしょうか。

仕事が終わってからの限られた時間、休日の隙間に勉強を積み重ねなければならない社会人受験者にとって、「本当に3ヶ月で受かるのか」という不安は切実なものです。

結論から言えば、財務諸表だけに絞って3ヶ月。それが、1級合格への一番の近道です。

建設業経理士1級は「財務諸表」「財務分析」「原価計算」の3科目で構成されていますが、科目合格制(1科目ずつ受験でき、合格科目は5年間有効)が採用されています。3科目同時受験で中途半端になるよりも、まず財務諸表1科目に集中して確実に仕留める。これが、仕事をしながら合格をつかむための現実的な戦略です。

この記事では、2級取得済みの方が「すでに持っている知識」をどう活かすかを整理し、3ヶ月間を週単位で区切った勉強法のロードマップをお伝えします。理論暗記と計算問題それぞれの攻略法も具体的に解説します。さらに、1級を取得すると会社の経営事項審査(経審)の点数がどう変わるかという実務メリットまでまとめてお伝えします。

2026年9月13日の上期試験まで、あと約3ヶ月半。今この記事を読んでいるタイミングは、スタートを切るのにちょうどいい時期です。

Contents
  1. 財務諸表だけに絞って3ヶ月——それが1級合格への最短ルートである理由
  2. 財務諸表科目の全体像と配点構造を把握する
  3. 建設業経理士1級 財務諸表の勉強法:3ヶ月週次ロードマップ
  4. 理論問題(第1〜3問)の効率的な攻略法
  5. 計算問題(第4・5問)で点数を積み上げる戦略
  6. 教材の選び方——市販テキストと公式テキストの使い分け
  7. 1級を取ると会社にどんなメリットがあるか(経審W点への影響)
  8. よくある質問(Q&A)
  9. まとめ

財務諸表だけに絞って3ヶ月——それが1級合格への最短ルートである理由

3科目同時受験と1科目集中、どちらが有利か?

建設業経理士1級には「財務諸表」「財務分析」「原価計算」の3科目があります。3科目すべてに合格してはじめて1級の資格が取得できますが、1科目ずつ受験できる科目合格制が設けられています。合格した科目は5年間有効ですので、焦って3科目同時に挑む必要はありません。

実際、3科目同時受験を選んだ受験者の中には「どの科目も中途半端に終わり、結局1科目も受からなかった」という声がYahoo!知恵袋などでも見られます。一方、1科目ずつ集中して受験した方からは「3ヶ月間ひとつの科目だけに集中できたから、効率よく合格できた」という報告が多く寄せられています。

比較項目3科目同時受験1科目集中受験
1日の学習範囲3科目を回す必要あり1科目に全力投入
学習計画の立てやすさ配分が難しいシンプルで迷わない
精神的な負担大きい集中しやすい
1回の試験で合格できる確率3科目すべて合格は難しい高い
全科目合格までの期間最短半年(理想論)1年半〜2年(現実的)

3科目の攻略順序や難易度の詳細はこちらの記事で解説していますので、「どの科目から受けるか」をまだ迷っている方は先に確認しておくと全体像がつかめます。

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2級で学んだ知識は財務諸表でここまで活きる

建設業経理士2級をすでに取得している方にとって、1級財務諸表の学習範囲は「まったく新しい世界」ではありません。2級で学んだ内容のうち、かなりの部分が1級財務諸表の基礎になっています。

以下の差分マップで、2級の知識と1級財務諸表の差分を確認してみてください。

テーマ2級で学んだ内容1級財務諸表で追加される内容
仕訳の基礎建設業特有の勘定科目(完成工事高・未成工事支出金など)そのまま活きる。追加学習は少ない
減価償却定額法・定率法の基本計算特殊な償却(減損会計・資産除去債務)
決算整理経過勘定・貸倒引当金の設定退職給付会計・税効果会計が加わる
財務諸表の作成個別財務諸表の作成連結財務諸表・株主資本等変動計算書が加わる
原価計算工事原価の計算財務諸表科目では深く問われない(原価計算科目で出題)
キャッシュフロー出題なしキャッシュフロー計算書の作成が加わる
リース取引出題なしファイナンスリース・オペレーティングリースの会計処理
建設業特有論点JV・工事進行基準の基本JV会計の詳細・工事損失引当金の処理

つまり、2級で学んだ簿記の基礎知識はそのまま土台として使えます。1級財務諸表で新たに学ぶ必要があるのは「連結」「税効果」「退職給付」「キャッシュフロー」「リース」などの応用論点です。ゼロからのスタートではないことを知っておくだけで、気持ちの面でもかなり楽になるはずです。

2級と1級の違いや選び方についてはこちらの記事も参考にしてください。

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また、2級の具体的な勉強法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

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科目合格制をフル活用する考え方

科目合格制を使えば、次の試験(2027年3月)で2科目目、その次(2027年9月)で3科目目、という計画が立てられます。財務諸表を最初に合格しておけば、残りの2科目はそれぞれ3ヶ月ずつ集中できます。5年間の有効期限があるため、余裕を持ったスケジュールが組めるのです。

財務諸表科目の全体像と配点構造を把握する

第1〜5問の配点と難易度の実態

財務諸表科目は試験時間90分、大問5問で構成されています。まず配点と出題形式を押さえておきましょう。

問題番号出題形式配点難易度の目安目標得点
第1問論述式(記述)20点高い(部分点狙い)10〜14点
第2問穴埋め・用語記述14点やや高い8〜10点
第3問正誤判定・理論選択18点普通12〜14点
第4問個別計算問題12点普通8〜10点
第5問精算表・財務諸表作成36点標準(量が多い)28〜32点
合計100点70点以上で合格

注目すべきは第5問の配点36点です。100点満点中36点をこの1問が占めているため、第5問で確実に得点できるかどうかが合否の分水嶺になります。逆に言えば、第5問を安定して28点以上取れる状態に持っていければ、理論問題で多少つまずいても合格圏に入れます。

理論問題が多い理由——建設業特有の会計基準との関係

財務諸表科目が3科目の中で最も理論問題の比重が高い理由は、この科目が「なぜそのような会計処理をするのか」という根拠を問う科目だからです。単に「仕訳が切れる」だけでなく、会計基準の考え方を理解しているかどうかを試されます。

建設業は一般企業と異なり、工事ごとに収益を認識するタイミングが異なります。工事の進捗に応じて売上を計上する「工事進行基準」(現在は「収益認識基準」に統合)や、JV(共同企業体)という建設業特有の事業形態における会計処理など、業界固有のルールが数多くあります。こうした背景があるからこそ、「ルールの意味を理解しているか」が試験で問われるのです。

合格率はどのくらい?

財務諸表科目の合格率は回によって28〜37%前後で推移しており、直近5回の平均は約32%です。70%近くの受験者が不合格になっていますが、これは「準備不足のまま受験する層」が一定数含まれているためでもあります。

きちんと計画を立て、過去問を繰り返し解き、理論暗記に取り組んだ受験者に限って見れば、合格率はもっと高いと考えられます。3ヶ月間、正しい方法で学習を積み重ねれば、十分に合格圏に入ることが可能です。

建設業経理士1級 財務諸表の勉強法:3ヶ月週次ロードマップ

仕事をしながら3ヶ月で財務諸表科目を攻略するための週次ロードマップです。1日の学習時間の目安は平日1〜1.5時間、休日2〜3時間(週あたり約10〜12時間)としています。

1ヶ月目(第1〜4週):計算問題の型を先に覚える

理論暗記よりも先に、計算問題の解き方を体に染み込ませる期間です。計算は「型」さえ覚えれば安定して得点できるため、まず得点源を確保します。

学習内容ポイント
第1週テキスト通読(全体像の把握)。2級との差分を意識して読む完璧に理解しようとせず、まず全体を1周する
第2週個別計算論点の演習(減価償却・引当金・リース)仕訳の「型」を手で書いて覚える
第3週連結会計・税効果会計の基本仕訳を習得連結は仕訳パターンが決まっている。暗記でなく「流れ」で理解
第4週第5問(精算表・財務諸表作成)の過去問を3回分解く時間を計って解き、弱点を洗い出す

2ヶ月目(第5〜8週):理論暗記+過去問演習

計算の基礎が固まったら、理論暗記と過去問演習を並行して進めます。暗記の量よりも「つながり」を意識することがポイントです。

学習内容ポイント
第5週第1問対策:主要論点の定義を書き出す(退職給付・税効果・減損など)定義を「一言で要約」してから肉付けする方法で覚える
第6週第2・3問対策:穴埋め・正誤問題を過去問5回分解く間違えた箇所をノートに記録。同じ論点がどの回でも出ているか確認
第7週建設業特有論点(JV・未成工事支出金・工事損失引当金)の集中学習実務と結びつけて理解する(後述の解説を参照)
第8週過去問を通しで3回分解く(90分計時)時間配分の感覚をつかむ。第1問に時間をかけすぎない

3ヶ月目(第9〜12週):直前模擬+弱点補強

最後の1ヶ月は仕上げの期間です。新しい論点には手を出さず、これまでの学習で弱かった部分を補強し、本番形式の演習を繰り返します。

学習内容使用教材ポイント
第9週過去問を通しで3回分(合計6回分完了目標)過去問題集70点を安定して超えられるか確認
第10週弱点論点の集中復習(間違いノートを活用)ノート+テキスト該当箇所「なぜ間違えたか」の原因を分類する
第11週第5問の集中特訓(過去問の第5問だけを5回分連続)過去問題集配点36点の第5問を「確実に取れる武器」にする
第12週最終模擬(過去問1〜2回分)+理論の最終確認過去問題集+ノート新しいことは覚えない。復習に徹する

このロードマップ全体で過去問は約8〜10回分を解くことになります。建設業経理士応援サイトでは第9〜34回の過去問が無料でダウンロードできますので、教材費を抑えたい方はぜひ活用してください。

理論問題(第1〜3問)の効率的な攻略法

第1問(論述)は白紙を出さないための部分点戦略

第1問は記述式の論述問題で、配点20点です。「退職給付会計の概要を説明しなさい」「税効果会計が必要とされる理由を述べなさい」といった形で、会計処理の根拠や考え方を文章で記述します。

正直なところ、この問題で満点を狙うのは現実的ではありません。しかし、白紙で出す必要もありません

部分点を確実に拾うためのコツは、以下の3つです。

  • 定義を一言で書く:たとえば「退職給付債務とは、将来支払う退職金を現在価値に割り引いた金額である」のように、まず核となる定義を書く
  • 会計処理の流れを箇条書きで示す:「①退職給付債務の算定 → ②年金資産の控除 → ③差額を退職給付引当金として計上」のように手順を書く
  • 建設業との関連があれば一言添える:「建設業においても従業員の退職給付は重要な負債項目であり〜」と業界への言及を入れる

完璧な文章を書こうとするのではなく、キーワードを含む部分点を積み重ねる戦略で10〜14点を確保することを目標にしてください。

建設業特有論点(JV・未成工事支出金)は実務と結びつけて覚える

試験で頻出する建設業特有の論点は、テキストの文字だけで覚えようとすると苦労します。実務と結びつけることで、格段に記憶に残りやすくなります。

JV(共同企業体)の会計処理

JVとは、大型工事を複数の建設会社が共同で受注・施工する事業形態です。実務では、たとえばA社(出資割合60%)とB社(出資割合40%)がJVを組んだ場合、工事の費用や収益をそれぞれの出資割合に応じて按分します。

現場では「JVの経理は、出資割合に応じた按分仕訳を毎月切る」という作業が発生します。試験では、この按分計算の仕訳や、JV工事の完成工事高・完成工事原価の計上方法が出題されます。「なぜ按分するのか」を理解していれば、計算自体は難しくありません。出資割合を使って費用と収益を分け合うという原理を押さえておいてください。

未成工事支出金と工事進行基準

未成工事支出金(みせいこうじししゅつきん)は、まだ完成していない工事にかかった原価を一時的に計上しておく勘定科目です。一般企業の「仕掛品」に相当します。建設業特有の勘定科目の全体像についてはこちらの記事で図解していますので、あわせて確認しておくと理解が深まります。

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実務では、決算期をまたぐ大型工事で「この工事の売上はいつ計上するのか」が問題になります。工事が完成するまで売上を計上しない「工事完成基準」と、工事の進捗度に応じて売上を計上する「工事進行基準」(現在は収益認識基準に統合)の使い分けが、建設業の経理担当者にとって日常的な判断事項です。試験では、進捗度の計算方法や、工事損失引当金(赤字が見込まれる工事への引当)の処理が問われます。日頃の業務で工事台帳を見ている方なら、「あの処理のことか」と腹落ちする内容です。

税効果会計・連結・キャッシュフロー——2級との差分だけ重点的に

2級では出題されなかった「税効果会計」「連結会計」「キャッシュフロー計算書」は、1級財務諸表で新たに加わる主要論点です。ただし、これらも基本的な考え方はパターン化されています。

  • 税効果会計:会計上の利益と税務上の所得の差異を調整する仕組み。「一時差異」(将来解消される差異)に対して繰延税金資産・負債を計上する、という基本パターンを覚えれば対応できます
  • 連結会計:親会社と子会社の財務諸表を合算し、グループ全体の財政状態を示す手続き。「投資と資本の相殺消去」「連結修正仕訳(親子間の取引を消去して二重計上を防ぐ仕訳)」のパターンを繰り返し解くことで身につきます
  • キャッシュフロー計算書:「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3区分に分けて資金の流れを表示する書類。間接法(税引前当期純利益から逆算してキャッシュフローを求める方法)による作成手順を過去問で練習するのが効率的です

計算問題(第4・5問)で点数を積み上げる戦略

第5問(精算表・財務諸表作成)は配点36点——ここが合否の分水嶺

繰り返しになりますが、第5問の配点36点は試験全体の36%を占めます。この問題は精算表の作成や財務諸表(貸借対照表・損益計算書)の完成が求められる総合問題です。

第5問の特徴は、個々の論点は基本的なものが多いということです。減価償却の計算、引当金の設定、経過勘定の整理など、2級で学んだ内容の延長線上にある問題が大半です。つまり、基礎をしっかり固めていれば高得点が狙える問題です。

ただし、ひとつの計算ミスが連鎖的に他の数字に影響する(貸借が合わなくなる)ため、正確さが求められます。

ケアレスミスを防ぐ解答手順と時間配分

90分の試験時間を有効に使うために、以下の時間配分を推奨します。

問題番号配分時間取り組み方
第5問35〜40分最初に着手する。配点が最大のため、頭がフレッシュなうちに取り組む
第4問10〜15分個別計算問題。落ち着いて解けば得点源になる
第3問10〜15分正誤判定は知識があればすぐ解ける
第2問10分穴埋めは知っているか知らないかの勝負。悩みすぎない
第1問15〜20分論述は最後に回す。残り時間で書けるだけ書く

多くの不合格者に共通するパターンが「第1問の論述に時間をかけすぎて、第5問が時間切れになる」という失敗です。第5問を最初に解くという順番を守るだけで、合格率は大きく変わります。

また、第5問を解く際のケアレスミス防止策として、以下を意識してください。

  • 問題文の指示(「千円単位で記入」「百万円単位で記入」など)を最初に確認する
  • 仕訳を下書き用紙に書いてから精算表に転記する(いきなり精算表に書かない)
  • 最後に貸借の合計が一致するか必ず検算する

どのテキストで第5問対策を積み上げる?

計算問題の型を覚えるには、使うテキストの解説のわかりやすさが学習効率を大きく左右します。建設業経理士1級のテキストはTACスッキリシリーズと過去問題集の組み合わせが定番ですが、「どちらが自分の学習スタイルに合うか」「2級で使ったテキストとの相性は?」が気になる方も多いはずです。

テキストの詳しい比較・選び方はこちら

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教材の選び方——市販テキストと公式テキストの使い分け

TACスッキリシリーズで基礎を固め、公式テキストで仕上げる

教材選びで迷っている方には、以下の組み合わせを推奨します。

教材用途特徴
TAC「スッキリわかる建設業経理士1級 財務諸表」第3版基礎固め(1ヶ月目)イラスト・図解が多く、初学者でも読みやすい
TAC「合格するための過去問題集 建設業経理士1級 財務諸表」第7版過去問演習(2〜3ヶ月目)解説が詳しく、独学に向いている
建設業振興基金 公式テキスト仕上げ・理論補強近年の試験では市販テキスト未掲載の論点が出題されるケースあり

近年の出題傾向として、市販テキストだけではカバーしきれない論点が第1問や第2問で出題されることが増えています。公式テキストは分量が多いため全ページを読む必要はありませんが、理論問題対策として辞書的に参照する使い方がおすすめです。

過去問は第何回から解くべきか

過去問は直近10回分を中心に取り組むのが効率的です。建設業経理士応援サイトでは第9回〜第34回の過去問が無料でダウンロードできますが、古い回は出題傾向が現在と異なる場合があります。

まずは直近5回分を解いて傾向をつかみ、その後さらに5回分を追加する、という流れが無理なく進められます。

1級を取ると会社にどんなメリットがあるか(経審W点への影響)

経営事項審査W点の加点幅と公共工事受注への影響

建設業経理士1級を取得する意義は、個人のキャリアアップだけにとどまりません。会社の経営事項審査(経審)の点数に直接影響します。

経営事項審査とは、公共工事を受注するために建設会社が受けなければならない審査のことです。経審の仕組み全体についてはこちらの記事でゼロから解説しています。

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この審査の「W点」(社会性等の評価点)の中に「公認会計士等の数」という評価項目があり、建設業経理士1級の合格者はここに加点されます。具体的には「公認会計士等数値 = 1級の人数 × 1.0 + 2級の人数 × 0.4」という計算式で評価され、総合評定値(P点)の向上につながります。中小建設会社にとって、経審の点数が上がることは公共工事の入札で有利になることを意味します。

経審W点と建設業経理士の関係についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

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「会社のために取る資格」として上司を説得する材料

もし「勉強時間を確保するために会社に協力してほしい」と考えているなら、経審への加点効果は上司への説得材料として非常に有効です。

  • 「1級を取得すれば、経審のW点が上がります」
  • 「W点が上がると総合評定値(P点)が上がり、入札で有利になります」
  • 「受験料と教材費を合わせても数万円で、経審点数アップの費用対効果は高いです」

このように数字で説明できれば、「受験を応援しよう」という空気が社内に生まれやすくなります。資格手当を設けている会社であれば、毎月の手当が加算される可能性もあります。

よくある質問(Q&A)

Q. 財務諸表は3科目で一番難しいと聞きますが、本当ですか?

A. 体感的な難易度が高いのは事実ですが、「一番難しい」とは限りません。合格率のデータでは原価計算が最も低い回もあります。財務諸表が難しく感じられる原因は、理論問題(記述式)の比重が高いことと、学習範囲が広いことにあります。ただし、2級の知識を活かせる部分が多いため、計画的に学習すれば十分合格可能です。実務で建設業の会計に触れている方にとっては、テキストの内容が「あの処理のことか」と結びつく場面も多いでしょう。

Q. 毎日1〜2時間しか取れない場合、3ヶ月で本当に間に合いますか?

A. 間に合います。財務諸表1科目の学習時間の目安は100〜150時間です。平日1時間+休日2〜3時間のペースで計算すると、3ヶ月(約13週)で約100〜120時間を確保できます。重要なのは「毎日少しでも触れること」です。1日30分でも、テキストを開いて前日の復習をするだけで記憶の定着率は大きく変わります。逆に、週末にまとめて8時間勉強するやり方は、平日に忘れてしまうため効率が下がりがちです。

Q. 過去問を何周すれば合格ラインに達しますか?

A. 目安は2〜3周です。ただし、回数よりも「間違えた問題を放置しない」ことのほうが重要です。1周目は時間を気にせず解き、2周目は時間を計って本番形式で解き、3周目は間違えた問題だけを集中的に解く、という進め方が効率的です。過去問10回分を3周すれば、出題パターンの大半をカバーできます。

Q. 建設業振興基金の公式テキストは必ず買うべきですか?

A. 必須ではありませんが、理論問題対策としてあると安心です。近年の試験では、市販テキスト(TACなど)に載っていない表現や論点が第1問・第2問で出題されるケースが増えています。公式テキストを最初から全ページ読む必要はなく、過去問を解いていて「テキストに載っていない」と感じた論点を公式テキストで確認する、という辞書的な使い方がおすすめです。

Q. 理論問題の暗記が苦手です。何かコツはありますか?

A. 丸暗記ではなく、「意味のまとまり」で分解して覚える方法が効果的です。たとえば「退職給付債務」という用語を覚えるなら、まず「将来支払う退職金の現在価値」と一言で定義します。次に「なぜ現在価値に割り引くのか → お金の時間価値があるから」と理由を紐付けます。このように「定義 → 理由 → 具体的な処理手順」の3段階で覚えると、論述問題で「何を書けばいいか」が自然と浮かぶようになります。用語カードを作って通勤時間に見返すのも有効です。

まとめ

建設業経理士1級の財務諸表科目は、学習範囲が広く、理論問題の比重も高いため、「どこから手をつければいいかわからない」と感じるのは当然のことです。

しかし、この記事で見てきたように、攻略の道筋は明確です。

  • 科目合格制を活かし、財務諸表1科目に3ヶ月集中する
  • 2級で学んだ知識は土台として活きる。新たに覚える論点は限られている
  • 1ヶ月目は計算の型、2ヶ月目は理論暗記と過去問、3ヶ月目は仕上げ
  • 第5問(配点36点)を最初に解き、確実に得点する
  • 理論暗記は丸暗記ではなく「定義→理由→手順」の3段階で覚える

そして忘れてはならないのは、1級の取得は個人のキャリアアップだけでなく、会社の経審W点を押し上げ、公共工事の受注力を高めるという実務的なメリットがあることです。「自分のため」と「会社のため」の両方を兼ねた資格だからこそ、挑戦する価値があります。

2026年9月の試験まで、まだ間に合います。今日からこのロードマップに沿って、最初の一歩を踏み出してみてください。3ヶ月後、「やってよかった」と思える結果が待っているはずです。


次のステップ:難易度の実態と、1級取得が会社にもたらす効果を確認しておこう

この記事のロードマップで「自分にも3ヶ月でやれそうだ」というイメージが掴めたら、次は以下の2点を確認しておくことをおすすめします。

① 1級の難易度・合格率の実態をデータで確認する
「本当に3ヶ月で合格できるのか」「財務諸表は3科目の中でどの位置にあるのか」を客観データで把握しておくと、学習計画に自信が持てます。

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② 1級取得が経審W点に与える影響を具体的な数字で理解する
「1級を取ると会社にどれだけメリットがあるのか」を上司に説明できる状態にしておくと、受験への社内理解が得やすくなります。

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 初めまして!「建設業経理と実務の教科書」ブログの筆者のだいせんです。 私はこれまで15年以上、建設業界で経理を中心に、契約業務・総務・採用など幅広い業務を経験してきました。建設業経理士1級や日商簿記検定1級を取得し、地元の工務店から全国規模の企業まで幅広く実務を積んでいます。その中で感じたのは、経理・事務担当者が「実務の疑問を気軽に相談できる相手が少ない」という現実です。教科書ではわかりにくいことや現場ごとに異なる対応が求められることも多く、安心して調べられる場所が必要だと考え、このブログを開設しました。経理や事務の基本解説から制度改正への対応、日々の業務改善のヒントまで、実務に役立つ情報をやさしく発信していきます。あなたの業務の一助となれば幸いです。
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