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経審(経営事項審査)とは?P点と5つの評点をゼロからやさしく解説【事務員向け】

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毎年書類を用意しているのに、経審の仕組みをちゃんと説明できない——実は、そういう方がほとんどです。行政書士の先生から届く書類リストを見て「今年も言われたとおりに揃えよう」と思いつつ、「そもそもこの審査って何なの?」というモヤモヤを抱えたまま何年も過ぎてしまった、という声は珍しくありません。理解できていないのは勉強不足ではなく、誰も体系的に教えてくれなかっただけです。この記事では、経審の全体像からP点・X点・Y点・Z点・W点のアルファベット5つの意味、届いた通知書の読み方、社内の役割分担まで、事務員目線でゼロからやさしく解説します。

Contents
  1. そもそも経審って何のためにあるの?——公共工事と点数の関係
  2. P点・X点・Y点・Z点・W点——アルファベット5つの意味を一気に整理
  3. Y点と決算書のつながり——経理担当者が知っておくべき財務指標の正体
  4. 届いた結果通知書の読み方——各欄の意味とP点の確認方法
  5. 社内の誰が何を準備する?——役割分担チェックリスト
  6. 申請の2段階ステップとスケジュール感
  7. よくある質問(Q&A)
  8. まとめ——経審の全体像がつかめたら、次は各評点の深掘りへ

そもそも経審って何のためにあるの?——公共工事と点数の関係

経審とは「経営事項審査(けいえいじこうしんさ)」の略称で、公共工事を発注者(国や地方自治体)から直接受注したい建設会社が、必ず受けなければならない審査です。建設業法第27条の23に基づく制度で、会社の規模・財務状況・技術力・社会的な取り組みなどを点数化し、「この会社にはどの程度の工事を任せられるか」を客観的に評価する仕組みになっています。

言い換えると、経審は「公共工事を受けたい建設会社の通信簿」です。この通信簿の点数が、入札に参加できるかどうか、そしてどのランクの工事に手を挙げられるかを左右します。

「点数が高いと有利」の意味——格付けランク(A・B・C)と入札参加資格のつながり

「経審の点数が高いほうがいい」と社長から聞いたことがあるかもしれません。これは具体的にどういう意味でしょうか。

公共工事の発注者(都道府県や市区町村など)は、入札に参加する会社を「格付け(かくづけ)」と呼ばれるランクに分類しています。たとえばA・B・Cの3段階に分けて、工事の規模に応じて「この工事はAランクの会社だけが入札できる」というルールを設けています。

この格付けランクを決めるときに使われるのが、経審の総合評定値(P点)です。P点が高い会社ほど上位ランクに位置づけられ、金額の大きな公共工事の入札に参加できるようになります。逆に、P点が低いとBランクやCランクとなり、参加できる工事の規模が限られます。

つまり「点数が高い=会社が受注できる仕事の幅が広がる」ということです。だからこそ、毎年の経審は会社の経営にとって非常に重要なのです。

経審を受けただけでは入札できない——経審→入札参加資格申請→格付け決定の3ステップ

ここで注意したいのが、「経審を受けただけでは、すぐに入札に参加できるわけではない」という点です。実務では、以下の流れを経て初めて入札に参加できるようになります。

  1. 経審を受ける → 総合評定値(P点)が通知される
  2. 入札参加資格申請を行う → 各発注者(都道府県・市区町村など)に申請書類を提出する
  3. 格付けが決定される → 発注者がP点などをもとにランクを決定する
  4. 入札に参加できる → 格付けに応じた工事の入札に参加する

経審はこの4ステップのうち最初の1つにすぎません。「経審を受けたのに入札できない」という状況は、ステップ2の入札参加資格申請をまだ行っていないケースがほとんどです。現場では申請時期が自治体ごとに異なるため、スケジュール管理が特に大切になります。

P点・X点・Y点・Z点・W点——アルファベット5つの意味を一気に整理

経審の仕組みを調べると、すぐにP点・X点・Y点・Z点・W点というアルファベットが登場します。突然アルファベットが5つも出てきて混乱しますよね。順番に整理します。

まず全体像を表で確認しましょう。

評点正式名称何を見ているかひとことで言うと
X点経営規模完成工事高・自己資本額会社の「大きさ」
Y点経営状況財務諸表の数値会社の「健全さ」
Z点技術力技術職員数・元請完成工事高会社の「技術の厚み」
W点社会性等社会保険加入・労働環境・CCUS等会社の「社会的な取り組み」
P点総合評定値X・Y・Z・Wの加重平均すべてをまとめた「総合点」

X・Y・Z・Wの4つの評点をそれぞれ計算し、最後にそれらを決まった配分(ウェイト)で合算したものがP点です。P点の計算式は次のとおりです。

P = 0.25 × X1 + 0.15 × X2 + 0.20 × Y + 0.25 × Z + 0.15 × W

※X点はさらにX1(完成工事高)とX2(自己資本額・平均利益額)に分かれます。

この計算式を覚える必要はありませんが、「Y点の配分は0.20(20%)、W点は0.15(15%)」というように、どの評点がP点にどれくらい影響するかを知っておくと、「うちの会社はどこを改善すれば点数が上がるのか」を考えるヒントになります。

X点(経営規模)——完成工事高と自己資本の大きさで決まる

X点は会社の「規模の大きさ」を数値化したものです。具体的には次の2つから計算されます。

  • X1:完成工事高(業種別に、原則として直近2年の平均値を使用。3年平均を選択することも可能)
  • X2:自己資本額と平均利益額

完成工事高が多ければ多いほど、また自己資本(会社の純資産)が大きいほど、X点は高くなります。会社の規模を端的に示す指標なので、中小企業にとっては一気に点数を上げるのが難しい項目でもあります。

Y点(経営状況)——決算書の数字から財務の健全性を判定する

Y点は会社の「財務の健全性」を測る評点です。毎年の決算書(貸借対照表・損益計算書)の数値をもとに、8つの財務指標を計算して点数化します。

Y点の詳細については後ほど「Y点と決算書のつながり」の章で詳しく解説しますが、ポイントは「経理担当者が日々入力している会計データが、直接Y点に反映される」ということです。つまり、経理業務と経審の点数は切っても切れない関係にあります。

建設業の決算書の特徴については、こちらの記事もあわせてご覧ください。

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Z点(技術力)——有資格者の人数と元請工事高が点数を左右する

Z点は会社の「技術力の厚み」を測る評点で、次の2つから計算されます。

  • 技術職員の数と資格の種類(1級施工管理技士、2級施工管理技士など、保有資格ごとに点数が異なる)
  • 元請完成工事高(元請けとして施工した工事の金額)

実務では、技術職員名簿の作成が工事部門の重要な仕事になります。どの社員がどの資格を持っているか、CPDS(継続学習制度)の単位を取得しているかなども影響します。

W点(社会性)——社会保険・労働環境・CCUSへの対応状況を反映する

W点は会社の「社会性等」を測る評点で、審査項目が多岐にわたります。主な項目は次のとおりです。

  • 社会保険(健康保険・厚生年金・雇用保険)への加入状況
  • 建退共(建設業退職金共済)への加入状況
  • 退職一時金制度・企業年金制度の導入状況
  • 法定外労災補償の加入状況
  • 営業年数
  • 防災活動への貢献
  • 建設業経理士の在籍状況
  • CCUS(建設キャリアアップシステム)への対応状況
  • エコアクション21等の環境認証

令和5年(2023年)8月の改正で、W点の計算方法に重要な変更がありました。CCUS(建設キャリアアップシステム)に未対応の会社は、W点の「知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況」の項目で加点が得られなくなり、同じ規模・実績でも以前よりP点が下がっている可能性があります。「去年と条件は変わっていないのに点数が下がった」という場合は、この改正の影響を確認してみてください。


令和8年(2026年)7月の改正予定について

令和8年(2026年)7月1日以降の申請から、W点に関して以下の変更が予定されています(2026年5月時点の情報)。

  • 社会保険加入に関する審査項目の削除:これまでW点に含まれていた「雇用保険・健康保険・厚生年金保険の加入状況」の審査項目が削除されます。建設業許可の要件として社会保険加入が義務化されたため、経審での審査が不要になったことが理由です。
  • 「建設技能者を大切にする企業の自主宣言」制度の新設:自主宣言を行った企業に5点が加点される新しい項目が設けられます。
  • 建設機械の加点対象の追加:建設機械の保有状況の審査項目に「不整地運搬車」と「アスファルト・フィニッシャ」の2機種が追加されます。

※この改正情報は2026年5月時点のものです。詳細は国土交通省の経営事項審査のページでご確認ください。


W点をもっと詳しく知りたい方へ

CCUSへの対応方法、建設業経理士の加点ルール、令和8年7月改正の詳細まで、W点に絞って深掘りしています。

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また、建設業経理士の資格がW点に加点される仕組みについては、こちらの記事もあわせてご参照ください。

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P点(総合評定値)——5つの評点を加重平均した「総合点」がこれ

P点(総合評定値)は、ここまで説明してきたX1・X2・Y・Z・Wの各評点を、先ほどの計算式で加重平均した「最終的な総合点」です。

入札参加資格の格付けはこのP点をもとに決まるため、「経審の点数」といえば通常はP点のことを指します。

実務では、P点を上げるためにどの評点を改善すべきかを考えることが大切です。たとえば、完成工事高(X1)を急に増やすのは難しくても、社会保険の整備やCCUSへの登録(W点)、建設業経理士の資格取得(W点)など、比較的取り組みやすい項目で点数を積み上げることは可能です。

Y点と決算書のつながり——経理担当者が知っておくべき財務指標の正体

経理担当者にとって最も身近な評点がY点です。なぜなら、Y点は毎年の決算書(貸借対照表・損益計算書)の数値から直接計算されるからです。「自分が入力している会計データが、そのまま経審の点数に影響する」——この実感をつかむことが、経審を理解する大きな一歩になります。

Y点を決める8つの財務指標とは

Y点は、以下の8つの財務指標をもとに計算されます。それぞれの指標が「何を見ているか」を簡単に整理します。

No.指標名何を見ているか
純支払利息比率借入金の利息負担が売上に対してどのくらいか
負債回転期間負債を返済するのに何ヶ月分の売上が必要か
総資本売上総利益率会社全体の資産に対してどれだけ粗利を稼いでいるか
売上高経常利益率売上に対して経常利益がどのくらい残っているか
自己資本対固定資産比率固定資産を自己資本でどの程度まかなえているか
自己資本比率総資本のうち自己資本が占める割合
営業キャッシュフロー本業で現金をどれだけ生み出しているか
利益剰余金創業以来の累積利益がどのくらいあるか

①②は「数値が低いほど良い(=負担が少ない)」、③〜⑧は「数値が高いほど良い」という関係になっています。

貸借対照表・損益計算書のどの数字が使われるか——科目対応表で確認

「8つの指標はわかったけれど、具体的に決算書のどの数字を使うの?」という疑問に答えるのが、次の科目対応表です。

指標名使う決算書主な勘定科目
純支払利息比率損益計算書+貸借対照表支払利息・受取利息配当金・売上高(完成工事高)
負債回転期間貸借対照表+損益計算書流動負債・固定負債・売上高(完成工事高)
総資本売上総利益率損益計算書+貸借対照表売上総利益(完成工事総利益)・総資本(総資産)
売上高経常利益率損益計算書経常利益・売上高(完成工事高)
自己資本対固定資産比率貸借対照表純資産合計(自己資本)・固定資産
自己資本比率貸借対照表純資産合計(自己資本)・総資本(総資産)
営業キャッシュフロー損益計算書+貸借対照表経常利益・減価償却実施額・売掛金増減・仕入債務増減など
利益剰余金貸借対照表利益剰余金

実務では、建設業の決算書は一般企業と勘定科目の名称が異なります。たとえば「売上高」は「完成工事高」、「売上総利益」は「完成工事総利益」と表記されます。会計ソフトに入力する段階で正しい科目を使っているかどうかが、Y点の計算に直接影響するのです。

建設業特有の勘定科目について詳しくは、こちらの記事で解説しています。

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届いた結果通知書の読み方——各欄の意味とP点の確認方法

経審が完了すると、「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」(経審の結果が書かれた通知書)が届きます。ただ、この通知書を初めて見ると、数字と項目名がぎっしり並んでいて戸惑うのではないでしょうか。ここでは、通知書のどこを見ればよいかを整理します。

「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」のどこを見るか

通知書には業種ごとに以下の情報が記載されています。

  • 完成工事高(X1の基礎データ):業種別の工事実績金額
  • X1点・X2点:経営規模の評点
  • Y点:経営状況の評点
  • Z点:技術力の評点
  • W点:社会性等の評点
  • P点(総合評定値):最終的な総合点

まず確認すべきは、業種ごとのP点です。格付けはこのP点で決まるため、自社が入札に参加したい業種のP点が前年と比べて上がったのか下がったのかをチェックしましょう。

次に、P点を構成するX1・X2・Y・Z・Wの各評点を個別に見ます。「どの評点が前年より下がったか」を確認することで、点数が変動した原因を特定できます。

自社の点数を上げるヒント——通知書から次のアクションを読み取る

通知書は「結果を確認して終わり」にするのはもったいないものです。次の視点でチェックしてみてください。

  • Y点が前年より下がっている場合 → 決算書の数値(利益率や自己資本比率など)が悪化していないか確認する。経理部門で改善できるポイントがあるかもしれません
  • W点が前年より下がっている場合 → 社会保険の届出漏れやCCUSへの未対応がないか確認する。令和5年8月の改正の影響も考えられます
  • Z点が前年より下がっている場合 → 技術職員の退職や資格期限切れがないか、工事部門に確認する
  • X点が前年より下がっている場合 → 完成工事高が減少していないか確認する(受注環境や工期の問題で変動することがあります)

通知書を見て「ここが下がっている」とわかれば、行政書士の先生に「来年はどうすればいいですか」と具体的に相談できるようになります。

社内の誰が何を準備する?——役割分担チェックリスト

経審の申請には多くの書類が必要ですが、「全部自分で用意しなければ」と思う必要はありません。実務では、経理・工事部門・社長の3者がそれぞれの担当範囲で準備するのが一般的です。以下のチェックリストで、自分が担当すべき範囲を確認してみてください。

経理・総務担当が用意するもの

  • [ ] 建設業の財務諸表(貸借対照表・損益計算書・完成工事原価報告書・株主資本等変動計算書・注記表)
  • [ ] 消費税の確定申告書(写し)
  • [ ] 税務申告書一式(法人税・事業税等の写し)
  • [ ] 社会保険・労働保険の加入を証明する書類
  • [ ] 建退共の加入・履行証明書
  • [ ] 建設業経理士の合格証書(写し)
  • [ ] 経営状況分析の申請書類(Y点の申請)

経審W点の詳細記事では、経理担当者がW点に直接貢献できる取り組みを詳しく解説しています。

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工事部門(現場担当)が確認・提出するもの

  • [ ] 工事経歴書(業種ごとの工事実績一覧)
  • [ ] 技術職員名簿(有資格者の一覧と保有資格の確認)
  • [ ] CPDSの学習履歴証明(該当する場合)
  • [ ] CCUSの登録状況の確認
  • [ ] 元請・下請の区分確認

社長・役員に確認が必要なもの

  • [ ] 申請書への代表者印の押印
  • [ ] 役員の略歴書(変更がある場合)
  • [ ] 営業年数の確認
  • [ ] 防災協定の加入状況
  • [ ] 法定外労災補償の加入内容
  • [ ] 審査基準日(申請の基準となる日のこと)と申請業種の最終確認

このように役割を分担しておくと、申請シーズンに慌てることが少なくなります。「自分の担当はここまで。あとは工事部門と社長に確認を取ればいい」とわかるだけでも、気持ちがずいぶん楽になるのではないでしょうか。

申請の2段階ステップとスケジュール感

経審の申請は、実は1回で完了するものではありません。2段階の申請を順番に行う必要があります。

まずY点のための「経営状況分析」——申請先は民間の登録機関

最初に行うのは「経営状況分析」の申請です。これはY点を算出してもらうための手続きで、申請先は国土交通大臣の登録を受けた民間の分析機関です。

実務では、行政書士の先生がこの申請を代行するケースが多いですが、分析機関は全国にいくつかあり(2026年5月時点で約10社が登録されています)、自分で選ぶことができます。建設業許可を取った都道府県とは関係なく、どの分析機関に申請しても構いません。

申請に必要な主な書類は、建設業の財務諸表と税務申告書です。経理担当者が用意する書類がここで使われます。

次にP点のための「経営規模等評価・総合評定値申請」——申請先は許可行政庁

経営状況分析の結果(Y点)が通知されたら、次に「経営規模等評価申請」と「総合評定値請求」を行います。この申請先は、建設業許可を受けている許可行政庁(都道府県知事または国土交通大臣)です。

ここではX点・Z点・W点が審査され、Y点とあわせてP点(総合評定値)が計算されます。

決算が終わってから申請完了まで何ヶ月かかる?

一般的なスケジュールの目安は次のとおりです。

ステップ所要期間の目安
決算日 → 決算書の確定約1〜2ヶ月
決算書確定 → 経営状況分析の申請・結果受領約2〜4週間
経営状況分析結果 → 経営規模等評価申請約1〜2ヶ月(都道府県により異なる)
申請 → 結果通知書の受領約2〜4週間

合計すると、決算が終わってから経審の結果通知書が届くまで、おおむね3〜5ヶ月程度かかるのが一般的です。

経審の結果には有効期間があり、審査基準日(申請の基準となる日のこと)から1年7ヶ月です。有効期間が切れると、その間は公共工事の入札に参加できなくなってしまうため、毎年の決算後は早めに申請手続きを開始することが重要です。

よくある質問(Q&A)

Q. 経審を受けるだけで入札に参加できるの?

答え:いいえ、経審を受けただけでは入札には参加できません。

理由:経審はあくまで会社の総合評定値(P点)を算出するための審査です。実際に入札に参加するためには、経審の結果を持って各発注者(都道府県や市区町村など)に「入札参加資格審査申請」を別途行い、格付けを受ける必要があります。

実務での注意点:入札参加資格の申請受付期間は発注者ごとに異なります。多くの自治体では年に1〜2回しか受付期間がないため、経審の結果通知書が届いたら早めに申請スケジュールを確認しましょう。申請時期を逃すと、次の受付期間まで入札に参加できないことになります。

Q. 令和5年のW点改正でうちの点数は下がっているの?

答え:CCUS(建設キャリアアップシステム)に未対応の場合、W点が下がっている可能性があります。

理由:令和5年(2023年)8月14日以降の審査基準日から適用された改正で、W点の「知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況」の評価方法が変更されました。CCUSに登録していない事業者は、この項目で加点が得られなくなっています。なお、令和8年(2026年)7月1日以降の申請では、CCUSに関する加点の配点が再度見直される予定です。最新の改正内容は国土交通省の公表情報をご確認ください。

実務での注意点:まずは自社の前年の通知書と今年の通知書を比べ、W点が下がっていないか確認してください。下がっていた場合は、CCUSへの事業者登録・技能者登録を進めることで、次回の経審で加点を回復できる可能性があります。

Q. Y点(経営状況)の申請先はどこ?許可を取った都道府県と違うの?

答え:Y点の算出に必要な「経営状況分析」は、国土交通大臣の登録を受けた民間の分析機関に申請します。建設業許可を受けた都道府県とは別の機関です。

理由:Y点の計算は専門的な財務分析を伴うため、国が登録した民間の分析機関(登録経営状況分析機関)が担当しています。この分析機関は全国にいくつか存在し、どの機関に申請するかは自由に選べます。

実務での注意点:分析機関によって手数料や処理期間が若干異なります。行政書士の先生が使い慣れた機関がある場合は、そこに合わせるのが一般的です。なお、Y点の結果が出た後に行う「経営規模等評価申請」は、建設業許可を受けた許可行政庁(都道府県知事または国土交通大臣)に申請します。こちらは申請先を選べません。

Q. 経審の有効期間はどのくらい?更新を忘れたらどうなる?

答え:経審の結果の有効期間は、審査基準日(申請の基準となる日のこと=通常は決算日)から1年7ヶ月です。

理由:建設業法施行規則で、経審の結果の有効期間は審査基準日から1年7ヶ月と定められています。この期間内に新しい経審の結果を取得しないと、公共工事の入札参加資格が途切れてしまいます。

実務での注意点:有効期間が切れると、新しい結果通知書が届くまでの間、公共工事の入札に参加できなくなります。いわゆる「空白期間」が生じると、その間に入札があっても手を挙げることができません。決算が終わったら速やかに経営状況分析→経営規模等評価の申請に取りかかり、空白期間を作らないよう注意が必要です。

Q. 建設業経理士の資格を取るとどの評点が上がる?

答え:建設業経理士の資格を取得すると、W点(社会性等)の加点対象になります。

理由:W点の審査項目の一つに「建設業の経理の状況」があり、公認会計士・税理士・建設業経理士1級・2級の有資格者が社内に在籍している場合に加点されます。ただし、対象となるのは1級と2級のみで、3級・4級は加点対象外です。建設業経理士1級についてはこちらの記事で詳しく解説しています

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実務での注意点:加点されるのは、経審の審査基準日時点で在籍している常勤の役職員に限られます。資格を取得しただけでなく、実際にその会社に勤務していることが条件です。建設業経理士2級は簿記の基礎があれば十分挑戦できる資格ですので、経理担当者が取得を目指すことで会社のP点アップに直接貢献できます。詳しくはこちらの記事をご参照ください。

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まとめ——経審の全体像がつかめたら、次は各評点の深掘りへ

経審(経営事項審査)の全体像を改めて整理すると、次のようになります。

  • 経審は公共工事を受注するための「通信簿」であり、P点(総合評定値)で会社の力が数値化される
  • P点はX・Y・Z・Wの4つの評点を加重平均して計算される
  • X点は会社の規模Y点は財務の健全さZ点は技術力W点は社会的な取り組みをそれぞれ評価する
  • 経審を受けた後、入札参加資格申請→格付け決定を経て、ようやく入札に参加できる
  • 経審の有効期間は審査基準日から1年7ヶ月。空白期間を作らないスケジュール管理が大切
  • Y点は決算書の数値から計算されるため、経理担当者の日々の業務が点数に直結する
  • W点は令和5年8月の改正でCCUS対応が重要になっており、令和8年7月にもさらに改正が予定されている

「仕組みがよくわからないまま書類を用意してきた」という状態から、「なぜこの書類が必要なのか、どこに影響するのか」がわかる状態になれたのではないでしょうか。

経審は奥が深く、各評点にはさらに細かいルールや改善のコツがあります。全部を一度に理解する必要はありません。まずはこの全体像をつかんだうえで、気になる評点から一つずつ深掘りしていきましょう。

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 初めまして!「建設業経理と実務の教科書」ブログの筆者のだいせんです。 私はこれまで15年以上、建設業界で経理を中心に、契約業務・総務・採用など幅広い業務を経験してきました。建設業経理士1級や日商簿記検定1級を取得し、地元の工務店から全国規模の企業まで幅広く実務を積んでいます。その中で感じたのは、経理・事務担当者が「実務の疑問を気軽に相談できる相手が少ない」という現実です。教科書ではわかりにくいことや現場ごとに異なる対応が求められることも多く、安心して調べられる場所が必要だと考え、このブログを開設しました。経理や事務の基本解説から制度改正への対応、日々の業務改善のヒントまで、実務に役立つ情報をやさしく発信していきます。あなたの業務の一助となれば幸いです。
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