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建設業経理士1級・2級・3級の違いと選び方|簿記経験・建設業歴別に「あなたが始めるべき級」を表で整理

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建設業経理士、1級・2級・3級ってあるけど何が違うの? どこから受ければいい?――この疑問を持ったまま検索しているなら、まずこの記事で”地図”を手に入れてください。実はこの疑問、初めて建設業経理士を調べた方のほぼ全員が持つものです。この記事では、各級の違い・経審への影響・簿記経験や建設業歴に合わせた「あなたが始めるべき級」を、表を使って整理します。


Contents
  1. 建設業経理士1級・2級・3級、何が違うの?まず”地図”を手に入れよう
  2. 経審(経営事項審査)に効く級・効かない級をはっきり伝えます
  3. あなたはどこから始めればいい?簿記経験×建設業経験の組み合わせ別フロー
  4. 各級の難易度と試験内容――合格率の数字だけでは見えないこと
  5. よくある質問(Q&A)
  6. まとめ――「まず2級」を目指す人へ

建設業経理士1級・2級・3級、何が違うの?まず”地図”を手に入れよう

「建設業経理士」という資格の存在を知っても、1級・2級・3級のどれを目指せばいいのかは、調べれば調べるほどわからなくなるのではないでしょうか。まずは全体像を一覧で把握することが大切です。

名前の違いからして紛らわしい――「建設業経理士」と「建設業経理事務士」

最初につまずきやすいのが、資格の「名前」です。

  • 1級・2級の合格者には「建設業経理士」という称号が与えられます
  • 3級・4級の合格者には「建設業経理事務士」という称号が与えられます

名前が違うだけでなく、後述する経審(経営事項審査)での扱いもまったく異なります。「建設業経理士」と「建設業経理事務士」は、似ているようで別物だと覚えておいてください。

1級・2級・3級の基本データを一覧で確認(試験回数・受験料・合格率)

項目1級2級3級
正式名称建設業経理士1級建設業経理士2級建設業経理事務士3級
受験資格なし(誰でも受験可)なし(誰でも受験可)なし(誰でも受験可)
受験料1科目:8,120円/2科目同時:11,420円/3科目同時:14,720円7,120円5,820円
試験実施年2回(9月・3月)年2回(9月・3月)年1回(3月のみ)
試験科目財務諸表・財務分析・原価計算の3科目1科目1科目
科目合格制あり(5年以内に3科目すべて合格で取得)なしなし
合格率の目安科目別20〜45%(原価計算が最難関)30〜50%台60〜70%台
経審の加点あり(係数1.0)あり(係数0.4)なし

※合格率は2024年度下期(2025年3月実施)の公式発表に基づきます。出典:建設業振興基金

ここで注目してほしいのは、一番右の列です。3級は経審の加点対象ではありません。 この事実がなぜ重要なのかを、次のセクションで詳しく説明します。


経審(経営事項審査)に効く級・効かない級をはっきり伝えます

経営事項審査(公共工事を受注するために必要な審査制度。略称:経審)は、建設会社の「通信簿」のようなものです。会社の規模・財務状況・技術力などを点数化し、公共工事の入札参加資格に影響します。社長や上司から「経審のために資格を取ってほしい」と言われた場合、この経審の点数に関わるかどうかが、受験する級を選ぶ最大の判断基準になります。

3級は経審の加点対象外――これを知らないと遠回りになる

はっきり伝えます。3級(建設業経理事務士)は、経審の加点対象ではありません。

「まずは3級から始めよう」と考えること自体は間違いではありませんが、もし社長から「経審のために取ってほしい」と言われているのであれば、3級をいくら取得しても会社の経審スコアには反映されません。

3級の試験は年1回(3月のみ)しか実施されないため、「3級を取ってから2級に進もう」とすると、それだけで1年近いタイムロスが生じることもあります。会社の経審の審査基準日がいつなのかを先に確認し、そこから逆算して受験スケジュールを考えることが大切です。

2級と1級ではどれだけ加点が違うか(W5評点の計算式と具体例)

経審の評価項目のひとつに「建設業の経理の状況(W5)」があり、社内に何人の有資格者がいるかで点数が変わります。計算式は以下のとおりです。

公認会計士等数値 =(1級の人数 × 1.0)+(2級の人数 × 0.4)

具体例を見てみましょう。

ケース1級の人数2級の人数公認会計士等数値
A社:2級が1人だけ0人1人0.4
B社:2級が2人0人2人0.8
C社:1級が1人1人0人1.0
D社:1級1人+2級1人1人1人1.4

たとえば従業員20名前後の地場建設会社で、経理担当が2級を取得すれば、A社のように公認会計士等数値が0から0.4になります。たった1人の取得でも、会社の経審スコアが上がるということです。

1級は2級の2.5倍の加点価値がありますが、1級は3科目すべてに合格する必要があり、合格率も20〜30%台と高くはありません。 まずは2級を取得して経審加点を実現し、その後に1級を目指すという順序が現実的です。

2021年改正で変わった「登録経理講習」――取得後も5年ごとに更新が必要

2021年4月の建設業法施行規則の改正により、建設業経理士1級・2級の合格者が経審の加点対象であり続けるためには、5年ごとに「登録経理講習」を受講・修了する必要があることになりました。

「資格を取ったら一生有効」ではない、という点に注意が必要です。

  • 対象:1級・2級建設業経理士の合格者
  • 有効期間:修了年月日から5年間(年度単位で計算)
  • 費用:15,430円(税込)
  • 受講方法:オンライン受講も可能(地方の方も自宅から受けられます)
  • 実施機関:一般財団法人建設業振興基金ほか

なお、2023年4月以降、経過措置は完全に終了しています。2017年度以前の合格者で講習を受けていない方は、すでに経審の加点対象外になっている可能性があります。

実務では、この更新制度の存在を知らない方が少なくありません。合格後に「取りっぱなし」にならないよう、会社として講習のスケジュールと費用を管理しておくことが重要です。


あなたはどこから始めればいい?簿記経験×建設業経験の組み合わせ別フロー

「何級から受ければいいか」は、簿記の知識と建設業での実務経験の組み合わせによって変わります。以下の表で、自分に近いパターンを確認してみてください。

【表】4パターン別・推奨受験級チャート

簿記の知識あり(日商簿記3級相当以上)簿記の知識なし(ほぼゼロ)
建設業経理の実務経験あり(1年以上)2級から直接受験を推奨。 建設業固有の勘定科目(未成工事支出金(まだ完成していない工事にかかった費用を一時的に計上する勘定科目。一般会計の仕掛品にあたる)・完成工事高など)を集中的に補強すれば十分に合格を狙える2級を目標にしつつ、テキストで独学。 実務での肌感覚があるので、理論の補強に集中できる。ただし試験範囲が広いため、不安なら3級で基礎を固めてから進む選択肢もある
建設業経理の実務経験なし(転職直後・転職前)2級から挑戦可能。 簿記の基礎知識が活きるため、建設業固有の仕訳・勘定科目を重点的に学べばよい。会社の経審スケジュールを確認してから受験時期を決める3級→2級の順が現実的。 ただし会社の経審が直近に迫っている場合は、3級を後回しにして2級に集中することも検討する

この表のポイント:

  • 3級・4級は経審の加点対象外(W5評点への影響はゼロ)
  • 会社の経審の審査基準日を先に確認し、そこから逆算して受験タイミングを決める
  • 試験は年2回(9月・3月)。ただし3級のみ年1回(3月)の実施

「3級を飛ばして2級から受けてもいい」は本当か?

本当です。建設業経理士には受験資格の制限がなく、3級を持っていなくても2級を受験できます。

ただし、簿記の知識がまったくない状態でいきなり2級のテキストを開くと、仕訳の基本(借方・貸方の考え方)から戸惑う可能性があります。その場合は、3級のテキストを「受験はせずに一読する」方法がおすすめです。3級のテキストを読むだけなら1〜2週間で終わりますし、2級の勉強に入ったときの理解度がまったく違ってきます。

現場では、「3級のテキストを1冊読んでから2級の勉強を始めた」という方が多い印象です。3級の試験を受けるかどうかは別として、3級の知識は2級合格のための土台になります。


各級の難易度と試験内容――合格率の数字だけでは見えないこと

3級:建設業の入口として知識を整理するための試験

合格率は60〜70%台で、建設業経理の入門的な位置づけです。出題範囲は建設業特有の勘定科目や仕訳が中心で、完成工事未収入金(完成した工事の代金で、まだ入金されていないもの。一般会計の売掛金にあたる)や未成工事支出金などの基本をひと通り学べます。

実務では、3級で学ぶ内容は「建設業の経理用語を正しく理解する」ための基礎になります。日常業務で使っている社内略語が、正式にはどういう勘定科目なのかを整理できる点が、3級の勉強をする最大のメリットです。

ただし繰り返しになりますが、3級は経審の加点対象外です。知識の整理には役立ちますが、「会社の経審点に貢献する」という目的であれば、2級の取得を目指す必要があります。

2級:実務で使える知識が身につく。経審加点の最初のゴール

合格率は回によって30〜50%台とばらつきがあり、油断はできません。試験範囲は原価計算や精算表の作成を含み、3級よりもかなり広くなります。

2級の勉強で得られる知識は、実務との結びつきが強い点が特徴です。工事台帳(各工事の収支を管理する帳簿)の見方や、完成工事原価の考え方など、日常業務で「なぜこの数字をこう処理するのか」が理解できるようになります。

経審加点の面でも、2級は「最初のゴール」といえる級です。1人が取得するだけで会社のW5評点に0.4の加算があり、中小建設会社にとって現実的かつ効果的な一歩になります。

2級の勉強スケジュール・合格率・経審加点の詳細は、こちらの記事で詳しく解説しています。

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1級:3科目の科目合格制。財務諸表・財務分析・原価計算のリアルな難しさ

1級は「財務諸表」「財務分析」「原価計算」の3科目に分かれており、5年以内にすべて合格する必要があります(科目合格制)。

合格率を見ると、財務諸表が30%前後、財務分析が25〜45%、原価計算が20%前後と、科目によって大きな差があります。特に原価計算は直近3回の試験で合格率が20〜25%程度にとどまっており、最も難易度が高い科目です。

現場の感覚では、1級の財務分析で学ぶ経営指標の知識は、そのまま使う場面は限られるものの、社長や上司に経営数値を報告する際の「共通言語」になります。「自己資本比率がこれだけ下がっています」と説明できるようになると、経理担当者としての信頼度が変わってきます。

1級は経審の加点係数が1.0(2級の2.5倍)と大きいですが、取得までに2〜3年かかることも珍しくありません。まずは2級を確実に取得してから、長期的な目標として1級を視野に入れるのが堅実です。

1級の勉強スケジュール・合格率・経審加点の詳細は、こちらの記事で詳しく解説しています。

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よくある質問(Q&A)

Q. 簿記の知識がゼロでも2級から受験できますか?

答え:受験は可能です。受験資格に制限はありません。

理由として、建設業経理士の試験には受験資格がなく、何級からでも受験できます。

ただし、実務での注意点として、簿記の知識がまったくない状態で2級のテキストを開くと、借方・貸方の基本的な仕組みから理解する必要があるため、想定以上に時間がかかることがあります。3級のテキストを先に一読してから2級に取りかかると、勉強の効率が大きく変わります。「3級の試験を受ける」のではなく、「3級のテキストを読む」ことを準備として取り入れてみてください。

Q. 会社から「経審のために取ってほしい」と言われました。3級からでも意味がありますか?

答え:経審への加点を目的とするなら、3級では意味がありません。2級以上が必要です。

理由は、経審のW5評点に加算されるのは1級と2級の保有者のみで、3級(建設業経理事務士)は加点対象外だからです。

実務での注意点として、まず会社の経審の審査基準日がいつなのかを確認してください。たとえば審査基準日が9月末であれば、それまでに合格していなければその年度の経審には反映されません。3級は年1回(3月)しか試験がないため、「3級→2級」の順で受けると最短でも1年以上かかります。経審のスケジュールから逆算して、2級を直接受験することを検討してみてください。

Q. 1級の3科目は一度に全部受けるべきですか、1科目ずつがいいですか?

答え:仕事をしながら受験するなら、1〜2科目ずつ受けるのが現実的です。

理由として、1級は科目合格制(5年以内に3科目すべて合格すれば取得)を採用しており、一度に全科目を受ける必要はありません。3科目同時の勉強量は非常に多く、仕事と両立するのは容易ではありません。

実務での注意点として、科目の合格には有効期限(5年)がある点に注意してください。たとえば最初の1科目に合格してから5年以内に残りの2科目に合格しなければ、最初の科目合格が失効します。受験の間隔を空けすぎないよう、年1〜2科目ずつ計画的に受験することが大切です。なお、合格率が最も低い原価計算を先に受けるか後に回すかは意見が分かれますが、得意・不得意で判断してかまいません。

Q. 2級に合格したあと、何もしないままだと経審の加点がなくなるって本当ですか?

答え:本当です。2021年の改正により、合格後5年を経過した場合は「登録経理講習」を受講しなければ経審の加点対象外になります。

理由として、2021年4月に建設業法施行規則が改正され、合格後も最新の会計知識を維持するために、5年ごとの講習受講が義務づけられました。2023年4月以降は経過措置も完全に終了しています。

実務での注意点として、講習費用は15,430円(税込)で、オンラインでも受講可能です。会社の経費として処理できるかどうかは事前に社長や上司に相談しておくとよいでしょう。「取ったら終わり」ではなく「5年ごとに更新が必要な資格」であることを、会社としても理解しておく必要があります。更新時期を見逃さないよう、合格日と次回講習の期限をカレンダーに登録しておくことをおすすめします。

Q. 日商簿記2級を持っていれば、建設業経理士2級はすぐ受かりますか?

答え:日商簿記2級の知識は大きなアドバンテージになりますが、「すぐ受かる」とは限りません。

理由として、日商簿記と建設業経理士では使用する勘定科目が異なるためです。たとえば、一般会計での「売掛金」は建設業会計では「完成工事未収入金」、「仕掛品」は「未成工事支出金」、「売上高」は「完成工事高」(完成した工事の売上を計上する勘定科目)と呼ばれます。仕訳のロジックは同じでも、勘定科目の読み替えに慣れるまでに一定の学習時間が必要です。

実務での注意点として、日商簿記2級を持っている方の場合、建設業経理士2級の勉強時間は一般的に100〜150時間程度といわれています。1日1時間の勉強なら3〜5か月が目安です。簿記の基礎がある分、建設業固有の部分に集中して取り組むことができるため、「まったくのゼロから始める人」よりは有利な位置にいます。ただし「名前が違うだけ」と油断すると、本試験で戸惑うことがあるので、過去問で出題パターンに慣れておくことが大切です。

まとめ――「まず2級」を目指す人へ

ここまでの内容を整理します。

  • 3級は建設業経理の入門として知識を整理するには有用だが、経審の加点対象外
  • 2級は経審加点の最初のゴール。1人取得するだけで会社のW5評点が上がる
  • 1級は経審加点の効果が最大だが、3科目合格制で取得までに時間がかかる
  • 合格後は5年ごとに登録経理講習の受講が必要(費用15,430円、オンライン受講可)
  • 簿記経験や建設業歴によって「始めるべき級」は異なるが、経審への貢献を考えるなら2級が最優先

「社長から資格を取ってほしいと言われたけど、何級から始めればいいのかわからなかった」という方は、まず会社の経審の審査基準日を確認し、そこから逆算して2級の受験時期を決めてみてください。

2級を目指す方は、こちらの記事も読んでみてください。勉強スケジュールや合格率、経審加点の仕組みをさらに詳しく解説しています。

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建設業経理士の取得は、会社の経審スコアに直接貢献できる、数少ない方法のひとつです。「自分が取得することで会社の役に立てる」という目標があれば、勉強のモチベーションも続きやすくなるのではないでしょうか。一歩ずつ、着実に進めていきましょう。

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 初めまして!「建設業経理と実務の教科書」ブログの筆者のだいせんです。 私はこれまで15年以上、建設業界で経理を中心に、契約業務・総務・採用など幅広い業務を経験してきました。建設業経理士1級や日商簿記検定1級を取得し、地元の工務店から全国規模の企業まで幅広く実務を積んでいます。その中で感じたのは、経理・事務担当者が「実務の疑問を気軽に相談できる相手が少ない」という現実です。教科書ではわかりにくいことや現場ごとに異なる対応が求められることも多く、安心して調べられる場所が必要だと考え、このブログを開設しました。経理や事務の基本解説から制度改正への対応、日々の業務改善のヒントまで、実務に役立つ情報をやさしく発信していきます。あなたの業務の一助となれば幸いです。
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