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偽装一人親方に気をつけて|外注費か給与か2026年の見分け方

daisen

ニュースで見た「偽装一人親方」——うちの一人親方さん、外注で処理しているけれど、社会保険や労災のことで、あとから問題になりませんか?

そんなふうにドキッとして、月末の支払い処理の手が止まってしまった事務員さんは、とても多いです。SNSやネットニュースで「偽装一人親方の取り締まり強化」という見出しを見て、「うちのあの人、もしかして当てはまるの?」と急に不安になる——それはあなただけではありません。そして、その不安に気づけたこと自体が、もう大きな一歩です。

毎日うちの現場に来てくれて、うちの道具を使い、うちの朝礼や指示で動いてくれる職人さん。長年「外注費」で支払ってきたけれど、社長に聞いても「昔からこうしてる」「みんなやってる」としか返ってこない。長くお世話になっている人に「あなたは社員扱いにします」なんて、気まずくて切り出せない。そんな板挟みの気持ち、よくわかります。——その「外注費か給与か」のモヤモヤ、一緒にほどいていきましょう。

この記事は、その「外注費か給与か」を、税金の話ではなく社会保険・労災という”労務(働き方まわり)”の側面にしぼってお伝えします。読み終えるころには、「うちのあの人はどっち寄りか」をざっくり見当づけられて、「何をどう確認・相談すれば安心か」の道筋が見えているはずです。むやみに怖がる必要はありません。一緒に、落ち着いて点検していきましょう。

※この記事は労務(社会保険・労災)に絞っています。税金まわりの詳しい話(外注費か給与かの税務判定・源泉徴収・消費税・インボイス)は、後半でそれぞれの専門記事に案内しますので、そちらと合わせて読んでいただくと全体像がつかめます。

Contents
  1. 「偽装一人親方」とは?責める言葉ではなく”うっかり当てはまる状態”
  2. 税金の話だと思っていたら…外注費か給与かは「社会保険・労災」にも直結する
  3. うちの一人親方さんはどっち?社会保険・労災で見る自己点検チェック
  4. 一番怖い2つのリスク:さかのぼり負担と「現場に入れない」
  5. 元請から「加入状況を確認させて」と言われたら?事務員の段取り
  6. よくある質問(Q&A)
  7. まとめ

「偽装一人親方」とは?責める言葉ではなく”うっかり当てはまる状態”

まず言葉の整理から始めましょう。強い言葉なので身構えてしまいますが、落ち着いて読んでみてください。

「一人親方」「偽装一人親方」をやさしい言葉で

一人親方(ひとりおやかた)とは、労働者を雇わず、自分ひとり(または家族だけ)で工事を請け負って働く職人さんのことです。会社に雇われている社員とは違い、立場としては「個人事業主(自分で商売をしている人)」になります。

そして偽装一人親方(ぎそうひとりおやかた)とは、こういう状態を指します。

働き方の実態は「会社に雇われた労働者」と変わらないのに、形のうえだけ一人親方(個人事業主)として扱われている状態。

たとえば、毎日決まってうちの現場に来て、うちの道具を使い、うちの朝礼・指示どおりに動いている——そういう働き方は、実態としては「社員」にかなり近いですよね。それなのに契約や支払いの形だけ「外注(一人親方)」にしていると、「偽装」と呼ばれてしまうことがあるのです。

ここで大事なのは、多くの場合これは”悪意”ではなく”うっかり”だということ。「昔からこの形でやってきた」「業界ではこれが普通だった」という会社がほとんどです。責められるべき犯罪、という温度感ではなく、「気づかないうちに当てはまってしまっていることがある状態」として受け止めてください。

なぜ問題になるの?会社が社会保険料・労災保険料の負担を逃れる形になるから

では、なぜこれが問題視されるのでしょうか。

社員(労働者)を雇うと、会社には次のような義務が生まれます。

  • 社会保険(しゃかいほけん)=健康保険と厚生年金。会社と本人が半分ずつ保険料を出し合う仕組み。会社の負担が発生します。
  • 労働保険(ろうどうほけん)=労災保険と雇用保険。とくに労災(労災保険)=仕事中のケガや病気を補償する保険は、会社が全額保険料を負担して社員のために加入します。

ところが「外注(一人親方)」という形にすると、これらの会社負担がなくなります。だから「本当は雇っているのに、保険料の負担を逃れるために外注の形にしているのでは?」と疑われる——これが偽装一人親方が問題になる理由です。実態は雇っているのに外注の形にすること(偽装請負(ぎそううけおい)ともいいます)は、近年とくに国が目を光らせている分野なのです。

ニュースを見てドキッとした事務員さんへ

「うちも当てはまるかも」と思うと後ろめたい気持ちになりますよね。でも、繰り返しますが、気づいて点検しようとしている時点で、あなたはとても誠実に対応しています。何も知らずに放置してしまうのが一番こわいのです。まずは正しく知って、自社の状況を整理することから始めましょう。

税金の話だと思っていたら…外注費か給与かは「社会保険・労災」にも直結する

ここがこの記事で一番お伝えしたい”気づき”です。

「外注費か給与か」というと、多くの事務員さんは税金の話——つまり「源泉徴収(給料から所得税を天引きすること)が必要か」「消費税はどうなるか」——だと思っています。たしかにそれも大切な論点です。

でも実は、同じ「外注費か給与か」という判断が、税金だけでなく社会保険・労災という”労務”の面にも同時に効いてくるのです。

「外注費か給与か」が効いてくる場面具体的に何が変わるか
税金(所得税)源泉徴収が必要か/不要か
税金(消費税)仕入税額控除・インボイスの扱い
社会保険会社が健康保険・厚生年金に加入させる義務があるか
労災・雇用保険会社が労働保険(労災・雇用保険)に入れる義務があるか/本人が一人親方労災に入るべきか

つまり「あの人は外注だから」と思って税金の処理だけを考えていると、社会保険や労災というもう一つの落とし穴に気づかないまま進んでしまう、ということです。実務では、税理士さんに税金のことだけ確認して安心していたら、あとから社会保険の問題が出てきて慌てた——というケースが起こりがちです。

税金まわりの詳しい話は、こちらの3記事へ

この記事は労務(社会保険・労災)にしぼってお伝えします。税金まわりの3つの論点は、それぞれ専門の記事で詳しく解説していますので、深入りせずそちらにお任せします。合わせて読むと、税金と労務の両面がそろって安心です。

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ここから先は、税金の話はいったん横に置いて、社会保険・労災の目線で「うちの一人親方さんはどっち?」を見ていきましょう。

うちの一人親方さんはどっち?社会保険・労災で見る自己点検チェック

「で、うちのあの人は外注で大丈夫なの? それとも社員扱いにすべきなの?」——一番知りたいのはここですよね。

国(国土交通省)も、一人親方と契約する前に働き方を確認するための「働き方自己診断チェックリスト」のような物差しを示しています(国土交通省「みんなで進める一人親方の保険加入 判断事例集」)。ここでは、その考え方を事務員さん向けにやさしく翻訳した自己点検チェックを用意しました。

チェックの見方

下の表を見ながら、自社の一人親方さんに当てはまるほうに印をつけてみてください。

  • 右側(外注寄り)に印が多い=事業者(本物の一人親方)らしい働き方
  • 左側(給与=労働者寄り)に印が多い=実態は社員に近く、社会保険・労災の対象になる可能性がある
確認すること左:給与(労働者)寄り右:外注(事業者)寄り
どこの現場に行くかほぼ毎日うちの現場だけ他社の現場も自分で請けている
仕事の進め方うちの朝礼・指示(段取り)どおりに動く自分の判断・段取りで進める
道具・材料は誰のものうちの道具・材料を使う自分の道具・材料を持ち込む
報酬の決め方日当(1日いくら)で決まっている仕事の出来高(この工事でいくら)で決まる
休んだとき・遅刻したときうちのルールで管理されている自分の都合で調整できる
仕事を断れるか基本的に断れない(言われたら出る)受ける・断るを自分で決められる

左に印が多かったとしても、すぐに「うちはアウトだ」と落ち込む必要はありません。あくまで「社員に近い働き方かもしれないので、一度きちんと確認したほうがよい」という目安です。最終的にどちらに当たるかの判断は、社労士(社会保険の専門家)さんや税理士さん、元請けに相談して決めるのが安心です。

「常用」「手間請け」という現場用語のワナ

ここで現場経験者として、ひとつ注意点をお伝えします。

現場では「常用(じょうよう)」「手間請け(てまうけ)」という言葉をよく使いますよね。

  • 常用=日当(1日いくら)で、うちの言うとおりに働いてもらう形
  • 手間請け=材料は元請け持ちで、職人さんの「手間(作業の労力)」だけを請け負ってもらう形

実務では、「常用で来てもらっているから外注費」と当たり前に処理している会社がとても多いです。ところが「常用」は、上の表でいう”左(労働者寄り)”の特徴とぴったり重なりやすいのです。日当で、毎日来て、うちの指示で動く——これはまさに社員に近い働き方。だから「常用だから外注」という思い込みは、実は一番つまずきやすいポイントなのです。

「常用で来てもらっている人がいる」という会社こそ、一度この機会に実態を点検してみてください。

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一番怖い2つのリスク:さかのぼり負担と「現場に入れない」

ここからは、あなたが一番こわがっているであろう2つのリスクを、正直に、でも解決策とセットでお話しします。

リスク①:過去にさかのぼって社会保険料を請求されることがある

もし「実態は労働者だった」と判断されると、本来は社会保険に入れるべきだったとして、過去にさかのぼって社会保険料を請求されることがあります(これを難しい言葉で「遡及(さかのぼり)」といいます)。

「いつから・どのくらい・誰が払うの?」が気になりますよね。ただ、ここは正直にお伝えすると、ケースによって大きく変わり、一律に「何年分」「いくら」とは言い切れません。さかのぼる期間や金額は状況次第とされていますし、会社負担分と本人負担分の整理も必要になります。だからこそ、不安なまま放置せず、早めに社労士さんや税理士さんに相談することが、結果的に負担を小さくする近道になります。

⚠️ 遡及される年数や金額の具体的な数字は、状況によって異なります。この記事では断定せず、「ケースによる」とお伝えしています。正確なところは専門家にご確認ください。

リスク②:加入を確認できないと現場に入れない=仕事が止まる

もうひとつが、「うちの職人さんが現場に入れなくなる」というリスクです。

建設業では、適切な保険に入っているかを確認できない作業員は、特段の理由がなければ現場に入れない、という取り扱いが広がっています。一人親方さんの場合、後で説明する労災(特別加入)の証明を提示できることが、実務上の入場条件の最低ラインになっていることが多いのです。

つまり、加入状況がはっきりしないと「明日から現場に入れません」となり、仕事そのものが止まってしまうおそれがある——これは事務員さんにとって切実な問題ですよね。

解決策:労災に入っていない一人親方さんには「一人親方労災(特別加入)」という選択肢

「もしうちの現場で、労災に入っていない一人親方さんがケガをしたら、誰が責任を負うの?」——考えるだけでこわい問いですよね。

一人親方さんは社員ではないので、会社の労災では原則として守られません。労災に入っていなければ、仕事中にケガをしても補償が受けられません。さらに最悪の場合、安全に配慮する義務を果たしていなかったとして、会社が損害賠償を求められるケースもあるとされています。

でも、ここに解決策があります。それが一人親方労災(特別加入)です。

  • 一人親方さんが、自分で労災保険に入れる特別な仕組みです。
  • これに入っておけば、仕事中のケガや病気に対して労災の補償が受けられます。
  • 現場入場のための証明にもなり、「現場に入れない」リスクの解決にもつながります。

ですから、労災に入っていない一人親方さんがいたら、まずは「一人親方労災に入ってもらえませんか」と声をかけるのが、双方にとって安心な第一歩です。声のかけ方は次の章でお伝えします。

💡 「一人親方労災、どこで・いくらで入れるの?」と思ったら

一人親方労災(特別加入)は、各地の「一人親方労災保険組合(特別加入団体)」を通じて加入するのが一般的です。費用は「組合への入会金・年会費」+「給付基礎日額(自分で選ぶ補償の大きさ)に応じた労災保険料」で決まり、選ぶ日額によって金額が変わります。まずは「お住まいの地域名+一人親方労災 特別加入団体」で検索し、複数の団体の費用・サポート内容を見比べるのが第一歩です。加入の要否や日額の選び方に迷ったら、社労士さんや元請けに「うちの○○さん、特別加入はどう進めればいい?」と相談すると、地域でよく使われている団体を教えてもらえることも多いです。

※団体ごとに費用・サービスが異なります。金額や加入条件の最新情報は各団体の案内をご確認ください。

元請から「加入状況を確認させて」と言われたら?事務員の段取り

「来月から、現場に入る一人親方さんの社会保険や労災の加入状況を確認させてもらいます」——元請けからこう言われて、何を用意すればいいかわからず焦っている。まさに今のあなたの状況かもしれません。落ち着いて、順番に段取りしていきましょう。

ステップ1:まず何を確認・用意する?

  • 労災(特別加入)の加入を証明できるものを確認する…一人親方さんが一人親方労災に入っているか、加入証明(番号がわかるものなど)を見せてもらえるか確認します。
  • 契約と実態を整理する…どんな約束で来てもらっているか(常用か、出来高か)、道具は誰のものか、毎日来ているか——前の章のチェック表を使って、自社の状況をメモしておきます。
  • 支払いの形を確認する…外注費として払っているか、源泉徴収はしているか。これは税金まわりの話なので、詳しくは下記の記事へ
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これらを整理しておけば、元請けに何を聞かれても落ち着いて答えられます。「うちはこういう形で、労災はこうなっています」と説明できる準備が、いちばんの安心材料です。

元請け・下請けの関係や、元請けへの書類提出の基本を整理したい方は、建設業の下請け構造をわかりやすく解説も合わせてどうぞ。

ステップ2:長年の職人さんへの切り出し方・声のかけ方

ここが一番気が重いところですよね。長くお世話になった人に「実態を見直したい」「労災に入ってほしい」と言うのは、人間関係を壊しそうで切り出しづらいものです。

そんなときは、「会社の都合」ではなく「あなたを守るため」という伝え方がおすすめです。

「最近、元請けさんから現場に入る職人さんの労災加入を確認するように言われていて。〇〇さんが現場でもしケガをしたときに困らないように、一人親方労災に入っておいてもらえると安心なんです。入り方も一緒に調べますね。」

このように、「あなたのケガのときの備え」「現場に入り続けるための準備」という前向きな理由で伝えると、角が立ちにくくなります。決して「あなたを疑っている」「コストを減らしたい」という話ではない、と伝わるようにするのがコツです。

ステップ3:2026年度以降の流れ=今点検しておくと慌てない

国(国土交通省)は、規制逃れを目的とした一人親方化を減らすため、「適正でない一人親方の目安」のようなものづくりを進めようとしています。2026年度以降を目標に策定が目指されているといわれていますが、2026年6月時点では、その具体的な内容や正式な決まりはまだ確定していません

ですから、今あわてて何かを大きく変える必要はありません。ただ、「こういう流れが来ている」と知っておけば、今のうちに自社を点検しておくことで、いざルールが固まったときに慌てずに済むのです。先回りして準備しているあなたは、すでに一歩リードしています。

⚠️ 「適正でない一人親方の目安」は、2026年6月時点で内容が確定していません。最新情報は国土交通省の発表などでご確認ください。

よくある質問(Q&A)

最後に、事務員さんから実際によく聞かれる5つの疑問にお答えします。

Q1. 「常用」で来てもらっているけど、これは外注じゃなくて雇用なの?

答え:「常用だから必ず雇用」と決まるわけではありませんが、雇用(社員)に近いと判断されやすい働き方です。

理由:常用は「日当で、うちの指示どおりに、毎日来てもらう」形が多く、これは前述のチェック表でいう”左(労働者寄り)”の特徴とぴったり重なるからです。実態が社員に近ければ、外注費の処理が認められなかったり、社会保険の対象になったりすることがあります。

実務での注意点:「常用=外注費」と機械的に処理してきた会社は、一度立ち止まって実態を点検しましょう。最終判断は社労士・税理士・元請けに相談を。

Q2. 実態が社員と同じだった場合、社会保険料はいつから・いくらさかのぼって払うの?

答えいつから・いくら、は一律には決まらず、ケースによります

理由:さかのぼる期間や金額は、働き方の実態や状況によって判断が分かれるためです。会社負担分・本人負担分の整理も必要になります。この記事で具体的な数字を断定できないのは、誤った金額をお伝えしないためです。

実務での注意点:不安なまま放置すると負担が大きくなることもあります。早めに社労士さんに相談するのが、結果的に安心で、負担を抑えることにもつながります。

Q3. 一人親方さんが労災(特別加入)に入っていないと、本当に現場に入れないの?

答え現場に入れない取り扱いが広がっているのは事実です。

理由:建設業では、適切な保険加入を確認できない作業員は原則として現場に入れない、という運用が進んでいます。一人親方さんの場合、一人親方労災(特別加入)の証明が、入場の最低ラインになっていることが多いからです。

実務での注意点:現場が止まると仕事に直結します。労災未加入の一人親方さんがいたら、早めに特別加入を案内しておくと、急な入場確認にも慌てずに済みます。

Q4. うちの現場で一人親方さんがケガをしたら、責任は誰が負うの?

答え:原則として一人親方さん本人の問題ですが、状況によっては会社が責任を問われることもあるとされています。

理由:一人親方さんは社員ではないため、会社の労災では原則守られません。ただし、安全に配慮する義務を果たしていなかったと判断された場合、会社が損害賠償を求められた裁判例もあるとされています(具体的な内容はケースによります)。

実務での注意点:だからこそ、一人親方労災(特別加入)に入ってもらうことが、職人さんにとっても会社にとっても安心の備えになります。怖がるより、備えるほうへ動きましょう。

Q5. 結局、うちはまず何から手をつければいい?

答え「自社の状況を知る」ことから始めれば十分です。

理由:すべてを今日中に解決する必要はありません。まずは前述のチェック表で自社の一人親方さんが外注寄りか給与寄りかを見当づけ、労災の加入状況を確認する——これだけで、相談するときの材料がそろいます。

実務での注意点:そのうえで、最終的な判断や手続きは社労士・税理士・元請けに相談すれば大丈夫です。一人で抱え込まないでくださいね。

まとめ

ここまでお読みいただき、おつかれさまでした。最後に要点を整理します。

  • 「偽装一人親方」は責める言葉ではなく、”うっかり当てはまってしまうことがある状態”。気づいて点検しようとしている時点で、あなたは誠実に対応できています。
  • 「外注費か給与か」は、税金だけでなく社会保険・労災にも直結します。税金まわりの詳しい話は#06・#34・#21へ、この記事は労務にしぼってお伝えしました。
  • 自己点検チェックで「うちのあの人はどっち寄りか」をざっくり見当づけられます。「常用」「手間請け」は労働者寄りになりやすいので要注意。
  • 怖い2大リスク(さかのぼり負担・現場に入れない)には、早めの相談と一人親方労災(特別加入)という備えで対応できます。
  • 元請けからの確認には、加入証明と実態の整理を準備しておけば落ち着いて答えられます。長年の職人さんには「あなたを守るため」という前向きな伝え方を。
  • 2026年度以降の規制の流れは2026年6月時点で内容未確定ですが、今点検しておけば慌てずに済みます。

そして一番お伝えしたいのは、最終的な判断は、社労士さんや税理士さん、元請けに相談すれば大丈夫だということ。あなたが一人で結論を出す必要はありません。まずは自社の状況を知ることから——その第一歩を踏み出したあなたなら、きっと落ち着いて対応していけます。

この記事は労務(社会保険・労災)の一般的な考え方をやさしく整理したものです。社会保険・税務の最終的な判断は、社労士・税理士・元請けなど専門家にご相談ください。

📌 まず動くのは、この2つだけで十分です

ここまで読んで「うちのあの人、ちょっと気になるかも」と思ったなら、その気づきこそが一番の財産です。今日からすべてを解決する必要はありません。あなたが次に踏み出す一歩は、次の2つだけで十分です。

  1. 自社の状況をメモする:本文の自己点検チェック表で「外注寄り/給与寄り」を見当づけ、一人親方さんの労災(特別加入)の加入状況を確認しておく。
  2. 調べる・相談する:労災の加入先・費用は「地域名+一人親方労災 特別加入団体」で調べ、外注費か給与かの最終判断は社労士・税理士・元請けに確認する。

最終的な判断を、事務員のあなたが一人で背負う必要はありません。「うちの○○さん、外注費のままで大丈夫ですか? 労災はどう進めればいいですか?」——この一言を専門家に伝えられれば、それで十分すぎるほど立派な対応です。どこに相談すればよいか迷うときは、お気軽にお問い合わせください。

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 初めまして!「建設業経理と実務の教科書」ブログの筆者のだいせんです。 私はこれまで15年以上、建設業界で経理を中心に、契約業務・総務・採用など幅広い業務を経験してきました。建設業経理士1級や日商簿記検定1級を取得し、地元の工務店から全国規模の企業まで幅広く実務を積んでいます。その中で感じたのは、経理・事務担当者が「実務の疑問を気軽に相談できる相手が少ない」という現実です。教科書ではわかりにくいことや現場ごとに異なる対応が求められることも多く、安心して調べられる場所が必要だと考え、このブログを開設しました。経理や事務の基本解説から制度改正への対応、日々の業務改善のヒントまで、実務に役立つ情報をやさしく発信していきます。あなたの業務の一助となれば幸いです。
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