建設業の事務員に役立つ資格7選|経審W点への影響と取得順番を完全解説
建設業の事務って、経理も許可申請も給与計算も全部ひとりでやることが多いですよね。そんな「なんでも屋」だからこそ、どの資格から手をつければいいか、迷ってしまうのは当然です。
「社長に『何か資格を取れ』と言われたけれど、何を取ればいいのかわからない」「建設業経理士って聞いたことはあるけど、日商簿記と何が違うの?」――そんな疑問を抱えて検索しているのではないでしょうか。
この記事では、建設業の事務員に本当に役立つ資格を7つに厳選し、「今のあなたの状況ならどれから取るべきか」を入社年数・業務内容・会社の状況別にわかりやすく解説します。さらに、資格を取ることで会社の公共工事の入札評価(経審の点数)がどれだけ上がるかを具体的な数値シミュレーション付きで紹介しますので、「資格を取る意味」が実感できるはずです。
建設業の事務員が資格に迷う理由【「何でも屋」だからこそ選びにくい】
建設業の事務は「業務ドメインが広すぎる」という壁
建設業の事務員が資格選びに迷う最大の理由は、担当する業務の幅が広すぎることです。
一般的な会社の事務なら「経理は経理」「総務は総務」と担当が分かれています。しかし中小建設会社では、ひとりの事務員が以下のような業務をすべてこなしていることが珍しくありません。
- 経理業務:請求書の発行、入金管理、工事ごとの原価計算、決算書類の作成補助
- 許可申請・届出:建設業許可の更新、決算変更届、経審(経営事項審査)の準備書類作成
- 労務・給与計算:現場作業員の給与計算、社会保険の手続き、年末調整
- 総務・庶務:電話対応、来客対応、備品管理、現場への書類送付
これだけ業務の幅が広いと、「経理の資格?許可申請の資格?給与計算の資格?一体どれから手をつければ……」と迷子になるのは無理もありません。
一般企業の事務と何が違う?建設業特有の業務3つ
「事務なら一般企業も建設業も同じでしょ?」と思われがちですが、建設業にはほかの業種にはない特有の業務があります。この違いを知ることが、「建設業の事務に本当に役立つ資格」を選ぶ第一歩です。
| 建設業特有の業務 | 内容 | 一般企業との違い |
|---|---|---|
| 工事原価の管理 | 工事ごとに材料費・外注費・労務費などを集計し、利益を管理する | 一般企業の売上原価とは勘定科目も計算方法も異なる(工事原価の基礎知識はこちら) |
| 建設業許可の維持 | 5年ごとの許可更新、毎年の決算変更届、経審の申請など | 許可がなければ500万円以上の工事を請けられないため、届出ミスが致命的 |
| 現場単位の労務管理 | 現場ごとに異なる雇用保険の適用、建設キャリアアップシステム(CCUS)との連動、出来高払い・現場手当の計算 | 一般企業の給与計算よりも変動要素が多く複雑 |
こうした建設業特有の業務に対応するには、一般的な簿記や事務の資格だけでは不十分な部分があります。だからこそ「建設業の事務に特化した資格の選び方」を知ることが重要なのです。
まず知っておきたい「資格と会社の評価(経審)のつながり」
経審(経営事項審査)とは何か?小さな会社にも関係ある?
経審(けいしん)とは、正式には経営事項審査といい、公共工事を受注したい建設会社が必ず受けなければならない審査のことです。
「うちは小さい会社だから関係ない」と思われるかもしれませんが、実はそうとも限りません。地域の公共工事(道路の補修、学校の修繕、公園の整備など)を受注している、あるいは将来受注したいと考えている会社であれば、会社の規模に関係なく経審は重要です。
経審では会社の「完成工事高(売上高のようなもの)」「財務状況」「技術者の数」などを点数化し、総合評定値(P点)という点数で評価されます。この点数が高いほど、公共工事の入札で有利になります。
経審W点(建設業経理の状況)の仕組みと計算式
経審の総合評定値のなかに、W点と呼ばれる項目があります。W点はさらに細かく分かれていますが、そのうちのW5点(建設業経理の状況)が、事務員の資格と直接つながるポイントです。
W5点は、会社に在籍している建設業経理士の人数によって加点される仕組みになっています。計算の基本ルールは以下のとおりです。
公認会計士等数(Z)の計算式:
Z(公認会計士等数)= 公認会計士・税理士・1級建設業経理士の数 × 1.0 + 2級建設業経理士の数 × 0.4
※「公認会計士等数」とは、建設業経理士などの有資格者を一定の係数で換算した人数のことです。この数値をもとに国土交通省の換算テーブルでW5素点が決まります。
ただし、対象になるのは以下の条件を満たす常勤の職員に限られます。
- 1級:合格後5年以内の方、または登録経理講習(CPD)を受講済みの方
- 2級:合格後5年以内の方、または登録経理講習(CPD)を受講済みの方
つまり、「資格を持っているだけ」ではダメで、合格から5年を超えた場合は講習を受けていなければ経審の加点対象にならないという点に注意が必要です(この点は後ほど詳しく解説します)。
【シミュレーション】経理士2級を1人取得すると会社の評点は何点上がる?
「資格を取ると会社の点数が上がるのはわかったけど、具体的にどれくらい?」という疑問にお答えします。
実務でよくある規模の会社を例に、具体的な数値でシミュレーションしてみましょう。
<条件> 完成工事高(年間の売上高)が約1億5千万円の中小建設会社
| パターン | 公認会計士等数Z | W5点の目安 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 経理士の有資格者なし | 0人 | 0点 | ― |
| 2級が1人いる場合 | 0.4人 | 約5〜6点アップ | +5〜6点 |
| 2級が2人いる場合 | 0.8人 | 約8〜10点アップ | +8〜10点 |
| 1級が1人いる場合 | 1.0人 | 約8〜10点アップ | +8〜10点 |
| 1級1人+2級1人の場合 | 1.4人 | 約12〜15点アップ | +12〜15点 |
※上記は完成工事高約1億5千万円規模の会社を前提とした目安の試算値です。実際の加点は会社の規模・評点区分により異なります。正確な計算は経審申請時に確認してください。
W5点は総合評定値(P点)の計算に組み込まれるため、たった1人が建設業経理士2級を取得するだけで、会社全体の入札評価が5〜6点上がることになります。
「たった5〜6点?」と思われるかもしれませんが、公共工事の入札では1点差で受注できるかどうかが決まることもあります。事務員が資格を1つ取るだけで会社の競争力が上がるのですから、これは大きなメリットです。
建設業経理士2級の難易度や勉強法について詳しくは、こちらの記事で解説しています。

業務ドメイン別|建設業事務に役立つ資格マップ
ここからは、建設業の事務に役立つ7つの資格を担当業務別に整理します。「自分が日々やっている仕事に一番近い資格はどれか」という視点で読んでみてください。
【経理担当】建設業経理士・日商簿記
経理業務を担当しているなら、まず検討すべきは以下の資格です。
| 資格名 | 概要 | 経審への加点 | 難易度の目安 |
|---|---|---|---|
| 建設業経理士2級 | 建設業の会計処理に特化した資格。工事原価計算・完成工事高の計上など建設業特有の論点を学べる | あり(W5点に直接加点) | 日商簿記2級と同程度(合格率30〜50%前後) |
| 建設業経理士1級 | 建設業の財務分析・原価管理まで踏み込んだ上位資格。3科目(財務諸表・財務分析・原価計算)の科目合格制 | あり(2級の2.5倍の加点) | 日商簿記1級に近い難易度(科目別合格率20〜45%前後、科目により異なる) |
| 建設業経理事務士3級 | 建設業経理の入門資格。※「経理事務士」は国家検定ではなく民間検定に近い位置づけで、「経理士」(1・2級)とは別物です。簿記の基礎+建設業特有の用語を学べる | なし | 日商簿記3級と同程度 |
| 日商簿記2級・3級 | 汎用的な簿記資格。転職市場での評価が高い | なし | 3級は入門レベル、2級は実務レベル |
実務ではどちらが役立つ?
日商簿記は「ビジネス全般の経理知識」、建設業経理士は「建設業に特化した経理知識」を学べます。建設業で長く働くなら、日商簿記で基礎を固めた後に建設業経理士を取得するのが理想です。ただし、会社の経審の点数を上げたいなら、建設業経理士2級を優先するのが実務的な正解です。
1級・2級・3級の違いや選び方について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

【許可申請・更新担当】行政書士・建設業法の実務知識
建設業許可の更新手続きや経審の書類作成を担当しているなら、以下の資格・知識が視野に入ります。
| 資格名 | 概要 | 経審への加点 | 難易度の目安 |
|---|---|---|---|
| 行政書士 | 官公署に提出する書類の作成を業とする国家資格。建設業許可申請を専門とする行政書士も多い | なし | 合格率10%前後の難関資格 |
行政書士は難関資格ですが、取得すれば建設業許可の申請・届出を自社で完結できるだけでなく、将来的に独立開業の道も開けます。
ただし、現実的には行政書士の資格がなくても、建設業法の基礎知識を身につけるだけで日々の業務は格段にスムーズになります。決算変更届や各種届出の「なぜこの書類が必要なのか」「何を間違えるとまずいのか」がわかるだけで、ミスが減り、行政書士に外注する際のやり取りも的確になります。
実務では、まず建設業法のテキスト(建設業許可の手引き等)を読み込んで基礎を固め、その上で「いつか行政書士を目指すかどうか」を判断するのが現実的なステップです。
【給与計算・労務担当】給与計算実務能力検定・社会保険労務士
給与計算や社会保険の手続きを担当しているなら、以下の資格が候補です。
| 資格名 | 概要 | 経審への加点 | 難易度の目安 |
|---|---|---|---|
| 給与計算実務能力検定(2級・1級) | 給与計算の実務知識を体系的に学べる民間検定。社会保険料・所得税・住民税の計算を実務レベルで習得 | なし | 2級は初学者でも3か月程度で合格可能 |
| 社会保険労務士(社労士) | 労務管理・社会保険の専門家を証明する国家資格 | なし | 合格率5〜7%の超難関資格 |
建設業の給与計算は、一般企業よりも複雑です。現場ごとに異なる手当、日給月給制の取り扱い、建設キャリアアップシステム(CCUS)との連携など、独特の変動要素があります。
社労士は超難関資格のため、給与計算の基礎を固めたいなら「給与計算実務能力検定」から始めるのが現実的です。 2級なら初学者でも取り組みやすく、試験内容が実務に直結するため、勉強したことがすぐに仕事に活かせます。
状況別・ステージ別「資格取得ロードマップ」
「結局、自分は今何から始めればいいの?」という疑問に、入社年数と会社の状況別に具体的な道筋を示します。詳しいキャリア設計についてはこちらの記事もあわせてご参照ください。

【入社〜2年目】まず土台をつくる:建設業経理事務士3級 or 日商簿記3級
入社して間もない時期は、まず経理の基礎体力をつけることが最優先です。
- 簿記の知識がまったくない方 → 日商簿記3級から始めるのがおすすめ。教材が豊富で、独学でも2〜3か月で合格を目指せます
- 建設業の用語に早く慣れたい方 → 建設業経理事務士3級を選ぶと、「完成工事高」「未成工事支出金」など建設業特有の勘定科目を学べます
この段階では経審への加点はありませんが、日々の仕事を「なんとなく」ではなく「理解して」こなせるようになることが大きな収穫です。
【3〜5年目・公共工事あり】最優先は建設業経理士2級(経審加点が最大の理由)
ある程度仕事に慣れてきた3〜5年目が、最も資格取得の効果が大きい時期です。
この段階でおすすめするのは、建設業経理士2級です。その理由は明確で、
- 経審W5点に直接加点される(前述のとおり、1人取得で約5〜6点アップ)
- 資格手当を出す会社が多い(月額3,000〜10,000円が相場)
- 建設業の経理知識を体系的に学べるため、実務の精度が上がる
特に公共工事を受注している会社に勤めているなら、建設業経理士2級の取得は自分のスキルアップと会社への貢献を同時に実現できる最もコスパの良い選択です。
実務では、入社3年目の事務員が建設業経理士2級を取得した後、社長から「おかげで経審の評点が上がって入札に通りやすくなった」と評価されるケースは珍しくありません。「資格を取っても意味があるのか」と不安に感じている方にとって、経審の加点は目に見える形で会社に貢献できる何よりの証拠です。
建設業経理士2級の難易度・合格率を詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

【5年目以降・本気でキャリアアップ】建設業経理士1級 or 給与計算実務能力検定
5年以上のキャリアがあり、さらにステップアップしたい方には、担当業務に応じた資格選択をおすすめします。
経理メインの方 → 建設業経理士1級
- 経審の加点が2級の2.5倍(公認会計士等数:1級は×1.0、2級は×0.4)
- 財務諸表・財務分析・原価計算の3科目を個別に受験でき、科目合格制なので働きながらでも挑戦しやすい
- 取得すれば「建設業経理のプロ」として社内外で高く評価される
建設業経理士1級の難易度や合格率について詳しくは、こちらの記事で解説しています。

給与計算・労務メインの方 → 給与計算実務能力検定
- 社労士に比べてハードルが低く、実務に直結する知識を効率的に習得できる
- 建設業特有の給与計算(現場手当、日給月給制など)に対応する基礎力が身につく
- まず2級を取得し、実務で活用しながら1級を目指すのが効率的
【長期ゴール】行政書士を視野に入れる判断基準
行政書士は合格率10%前後の難関国家資格です。取得までに1〜3年の本格的な勉強が必要になるため、以下の条件に当てはまる方が「長期目標」として検討するのが現実的です。
- 建設業許可の申請・届出業務を自社で内製化したい
- 将来的に独立開業(行政書士事務所)を考えている
- 建設業法の知識を体系的に極めたい
逆に、「許可申請に関わる知識だけ身につけたい」という方は、行政書士の資格取得にこだわる必要はありません。建設業法の基礎テキストや、国土交通省が公開している「建設業許可の手引き」を読み込むだけでも、日常業務の質は大きく向上します。
まず何から始めるか決まりましたか?
「3〜5年目は建設業経理士2級が最優先」とお伝えしましたが、具体的な勉強スケジュールや合格率が気になる方は、以下の記事で詳しく解説しています。
あわせて読みたい建設業経理士2級の難易度・勉強法・合格率【独学で合格できる?仕事しながらの3ヶ月プラン付き】 あわせて読みたい建設業経理士1級・2級・3級の違いと選び方|簿記経験・建設業歴別に「あなたが始めるべき級」を表で整理
2025〜2026年に注意すべき制度変更2点/
資格選びだけでなく、今まさに動いている制度変更も押さえておきましょう。知らないまま放置すると、実害が出るものばかりです。
建設業経理士の「登録経理講習(CPD)」を受けないと経審の加点が消える
建設業経理士の1級・2級に合格しても、合格から5年を超えると、登録経理講習(CPD)を受講しなければ経審の加点対象から外れてしまいます。
この制度は2021年4月から本格運用が始まり、2023年3月末に経過措置が完全終了。2023年4月以降の審査基準日からは、5年超の未受講者は一切加点されない運用が続いています。
これは実務で本当によくあるトラブルです。「数年前に2級を取った事務員がいるから大丈夫」と安心していたら、経審の直前に「講習を受けていないから加点ゼロになっていた」と発覚する――こんなケースが少なくありません。
対応のポイント:
- 合格証書の日付を確認し、5年以内に登録経理講習を受けるスケジュールを組む
- 講習は一般財団法人建設業振興基金が実施しており、eラーニング(オンライン講習)にも対応している
- 受講費用は18,000円(税込)(2026年5月時点)
- 講習を受講すれば、次の5年間は再び経審の加点対象になる
- 経審の審査基準日よりも前に講習を完了しておく必要がある
資格を「取って終わり」にせず、定期的に講習を受けて加点を維持することが重要です。社内で資格保有者の講習期限を管理する仕組み(Excelの管理表など)を作っておくことをおすすめします。
建設業許可・経審の電子申請(JCIP)が標準化|事務員に求められる対応とは
建設業許可の申請や経審の手続きは、これまで紙ベースが中心でした。しかし2025年以降、JCIP(建設業許可・経営事項審査電子申請システム)による電子申請が本格的に標準化されつつあります。
実務では「JCIPの登録を任されたが、gBizID(法人共通認証基盤)の取得から始まり、何をすればいいかわからなかった」という事務員の声を多く聞きます。
事務員が押さえておくべきポイント:
- gBizIDプライムの取得が前提(会社の代表者名義で申請、取得まで数週間かかる)
- JCIPのアカウント登録と操作方法の習得
- これまで行政書士に丸投げしていた変更届・決算変更届は、電子申請では事務員自身が操作を求められる場面が増える
- 電子申請に対応するには、建設業法の基礎知識(どの届出に何の書類が必要か)が不可欠
行政書士に業務を委託している会社でも、電子申請の操作そのものは社内の事務員が担うケースが増えています。建設業法の基礎を理解しておくことは、もはや「あると便利」ではなく「ないと困る」スキルになりつつあります。
よくある質問(Q&A)
Q1. 小さな会社なのに経審って関係ありますか?
答え:公共工事を1件でも受注している(または将来受注したい)なら、会社の規模に関係なく経審は重要です。
理由として、経審は公共工事を受注するために法律で義務付けられている審査であり、会社の大小は関係ありません。地域の小さな修繕工事でも、発注者が公的機関(市区町村など)であれば経審の点数が入札参加の条件になります。
実務での注意点としては、「今は民間工事だけだから関係ない」と思っていても、元請けや取引先から「経審を受けてほしい」と言われるケースは意外と多いです。いざという時に慌てないよう、資格取得による加点の仕組みは早めに理解しておくことをおすすめします。
Q2. 日商簿記2級と建設業経理士2級、どちらを先に取るべきですか?
答え:建設業で長く働くなら、建設業経理士2級を先に取ることをおすすめします。
理由は2つあります。第一に、建設業経理士2級は経審のW5点に加点されるため、取得がそのまま会社への貢献になります。第二に、試験内容に「工事原価計算」「完成工事高の計上基準」など建設業特有の論点が含まれており、日々の実務に直結する知識が身につきます。
実務での注意点として、日商簿記2級は転職市場での知名度が高いため、「将来的に他業種への転職も考えている」という場合は日商簿記2級を優先するのも合理的な判断です。両方の資格の違いを詳しく知りたい方は、こちらの記事で比較解説しています。

Q3. 社労士は難しすぎる気がします。給与計算だけなら何か別の資格がありますか?
答え:給与計算実務能力検定がおすすめです。社労士よりもはるかにハードルが低く、実務に直結します。
社労士は合格率5〜7%の超難関資格で、合格までに通常800〜1,000時間の勉強が必要といわれています。一方、給与計算実務能力検定の2級は3か月程度の学習で合格を目指せます。
実務での注意点として、給与計算実務能力検定は「給与計算の正確な処理」に特化しているため、社会保険の手続き全般(労災・雇用保険の届出など)までカバーしたい場合は、検定取得後にさらにステップアップを検討しましょう。ただし、まず「毎月の給与計算をミスなくこなす」ことが最優先なら、この検定から始めるのが最も効率的です。
Q4. 行政書士は自分には無理な気がします。許可申請業務に役立つ知識だけ身につける方法はありますか?
答え:行政書士の資格がなくても、建設業法の基礎知識を学ぶだけで許可申請業務の質は大幅に向上します。
行政書士の試験範囲は建設業法だけでなく、民法・行政法・憲法など幅広い法律を含むため、「許可申請の実務力を上げたい」だけなら必要以上に大きな投資になります。
実務での注意点として、以下の方法で建設業法の知識を身につけるのが現実的です。
- 国土交通省や都道府県が公開している「建設業許可の手引き」を通読する(無料で入手可能)
- 建設業法の入門書を1冊読み込む
- 自社が過去に提出した申請書類を読み返し、「なぜこの書類が必要なのか」を理解する
- 行政書士に外注している場合は、外注先に質問して知識を吸収する
「行政書士に頼むべき仕事」と「自分でできる仕事」の線引きができるようになるだけでも、業務効率は大きく変わります。
Q5. 資格を取っても会社に評価してもらえるか不安です。
答え:建設業経理士は、会社にとって「経審の点数が上がる=入札で有利になる」という明確なメリットがあるため、他の資格に比べて評価されやすい資格です。
一般的な資格は「持っている人のスキル証明」にとどまりますが、建設業経理士は会社の経審の点数に直結するため、会社にとっても数字で見えるメリットがあります。
実務での注意点として、資格取得を会社に評価してもらうためには、以下のアクションが有効です。
- 取得前に社長や上司に「建設業経理士を取ると経審の点数がこれだけ上がります」と数字で伝える
- 取得後は「資格手当の支給」を確認する(建設業経理士の資格手当を制度化している会社は多い)
- 経審の申請時に「自分の資格でW5点が加点されている」ことを社内で共有する
「資格を取っても評価されない」と感じるのは、会社が資格のメリットを認識していない場合がほとんどです。経審の点数という客観的な数字を使って伝えることで、状況が変わるケースは多いです。
まとめ|迷ったら「建設業経理士2級」から始めよう
ここまで、建設業の事務員に役立つ7つの資格を、業務ドメイン別・ステージ別に解説してきました。最後にポイントを整理します。
建設業事務員に役立つ資格 まとめ一覧
| 資格名 | 対象業務 | 経審加点 | おすすめの時期 |
|---|---|---|---|
| 日商簿記3級 | 経理全般 | なし | 入社〜2年目 |
| 建設業経理事務士3級 | 経理(建設業入門) | なし | 入社〜2年目 |
| 建設業経理士2級 | 経理(建設業特化) | あり | 3〜5年目(最優先) |
| 建設業経理士1級 | 経理(上級) | あり | 5年目以降 |
| 給与計算実務能力検定 | 給与計算・労務 | なし | 5年目以降 |
| 社会保険労務士 | 労務管理全般 | なし | 長期目標 |
| 行政書士 | 許可申請・届出 | なし | 長期目標 |
最も大切なメッセージはひとつです。
迷ったら、まず建設業経理士2級から始めてください。
建設業経理士2級は、自分のスキルアップ(建設業の経理知識が体系的に身につく)と会社への貢献(経審W5点の加点)を同時に実現できる、建設業の事務員にとって最もバランスの良い資格です。
「資格がたくさんあってどれを取ればいいかわからない」と悩んでいた気持ちが、この記事を読んで少しでも整理できたなら嬉しく思います。建設業の事務は業務範囲が広く大変ですが、だからこそ資格を通じて知識を深めることで、自信を持って仕事に向き合えるようになります。
まずは一歩、踏み出してみてください。その一歩が、きっとキャリアの大きな転換点になるはずです。
建設業経理士2級の勉強法や合格のコツについては、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。

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| 建設業経理士1級・2級・3級の違いと選び方 | どの級から受けるか迷っている方 |
| 建設業経理士2級 vs 日商簿記2級 どちらを取るべき? | 日商簿記と建設業経理士で悩んでいる方 |
| 建設業事務員のキャリアパス | 5年後・10年後のキャリア全体を描きたい方 |
※ この記事の内容は2026年5月時点の情報に基づいています。法改正や制度変更により最新情報が異なる場合がありますので、詳細は国土交通省・建設業振興基金等の公式サイトでご確認ください。
